元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、株主からの質問書に対する見解を公表?


【 ユニゾHD:株主からの質問書に対する見解の公表 】


 2019/10/10、ユニゾホールディングス(3258)は、「当社株主*からの質問書に対する当社見解の公表に関するお知らせ」を発表した。
*エリオット・インターナショナル・エルピー及びザ・リバプール・リミテッド・パートナーシップの代理人たるエリオットアドバイザーズ(香港)リミテッド
https://www.unizo-hd.co.jp/news/file/20191010_5.pdf

 以下はその主な概要。


2019/8/16 「サッポロ合同会社による当社株券に対する公開買付けに関する意見表明(賛同)のお知らせ」

 HIS公開買付け(「H TOB」)について、その内容を具体的に精査した上、H TOBは、
1.シナジーの創出が期待できないこと
2.当社の不動産事業の事業価値を毀損するおそれがあること
3.公開買付価格が不十分であること、
4.公開買付の手法が強圧的なものであること
5.HISとの間に信頼関係がないこと
等から、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益の毀損につながる可能性が否定できないと判断し、H TOBに反対の意見を表明するに至った


2019/9/27「当社への買収提案に対する対応の基本方針について」

買収提案者との間で「合意書」を締結
1.契約当事者に「*ユニゾ従業員持株管理会社(従業員会社)」が加わること
2.買収提案者のリターンと出口の時期・方法を明記し、出口の時期・方法を従業員会社が選択できること
3.買収提案者の退出までの間、一定の企業体力を維持出来る「約諾」が備わっていること

*ユニゾ従業員持株管理会社:当社の299名の従業員のみを株主とする法人であり、当社及び当社の子会社の役員及び執行役員は 一切含まれていない

⇒ 当社及び当社子会社の役員及び執行役員が従業員持株会社の取締役に就任することを排除するための定款変更及び従業員会社の株主となることを排除するための株式譲渡制限に係る取締役全員での決定の手続を進めているとのこと


2019/9/27 「サッポロ合同会社による当社株券に対する公開買付けに関する意見表明(留保)のお知らせ」

< Fortressから受けた説明 >
1.当社の非公開化後、当社の一部の事業及び資産を切り離した上で、当社を実質的に解体することを視野に入れている可能性を否定できず、
2.Fortress公開買付け(「F TOB」)が成立した場合、 当社の完全子会社化後、従業員の雇用及び労働条件が維持されない可能性が出てきた

⇒ そこで、当社は、
3.公開買付価格を5,000円に引き上げることを要請するとともに、
4.当社の事業及び資産の売却等による 実質上の解体を防止するとともに、
5.これらを実現することが担保できる「仕組み」が合意されるよう、当社が必要であると考える合意書の締結をFortressに提案した

⇒ 2019/9/27まで、合意書に関する具体的な回答を何ら受けられず、F TOB開始後の協議及び交渉の中で、Fortressから受けた説明も踏まえると、F TOBは、本基本方針に沿うものではない可能性があると判断するに至った

⇒ 2019/9/27開催の取締役会において、F TOBに賛同し、 かつ、F TOBに応募を推奨するか否かについての意見を留保することを決議


<感想>
 本件は、ユニゾHDのTOBを巡る一連の流れを改めて確認したもの。
 ユニゾHDの299名の従業員を株主とするユニゾ従業員持株管理会社に対して大きな権限を与えることには、(エリオット同様)違和感を覚える。

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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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