【 ヤフーとLINEの経営統合 】
2019/11/18、日経電子版に、『ヤフーとLINE統合 「米中に次ぐ第三極に」 』が掲載された。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52292940Y9A111C1000000/
以下は、記事からのポイント。
< ネットとAIの流れの速さへの危機感が統合のトリガー >
「競争激化への危機感、インターネットの流れ、AIの流れの速さへの危機感があった。我々は(全てのサービスを提供できる)スーパーアプリ戦略を実現しようとしてきたが、グローバルの強いプレーヤーとの競争は国内でも激しい。これらがトリガーになった」
さらに「プロダクトの方向性は、徹底的に議論をして決めていく。プロダクト委員会という専門委員会も作る。両社がやっている事業の棲み分けは、しばらくの間、徹底的に議論して決めていく」
< シナジーは利用者規模 >
「シナジーは利用者規模だ。ヤフーの月間利用者数は7000万人、クライアント数は300万ある」
LINEも8000万人・350万あることを踏まえ、「単純に合わせればいいというわけではないが、LINEは若い層が強いなどそれぞれの客層を補完できる関係にある」
< 統合後の体制 >
「Zホールディングス(HD)の下にヤフーとLINEが兄弟会社となる」
ZHDは東証1部上場を続けていくが、一般株主について「現在のところの想定では一般株主が35%で、ソフトバンクと(LINE親会社の)ネイバーとのジョイントベンチャー(JV)が65%の比率になる」
経営体制については「取締役は10名を想定し、ZHD側が3名、LINE側が3人、社外取締役は4人でガバナンス体制を強化する」
統合後のZHDは川辺氏が社長となり、川辺氏と出沢氏がCo-CEO(共同CEO)となる予定
一方、以下は、同日のZホールディングス(4689)/LINE(3938)の「経営統合に関する基本合意書の締結について」のプレスリリースからのポイント。
https://scdn.line-apps.com/stf/linecorp/ja/ir/all/LINE_20191118.pdf
< 相互送客によるユーザー基盤の最大化 >
ZHD及びZHDの完全子会社のヤフーの顧客基盤 (平均月間利用者数6,743万人、アプリ合算MAU1.4億人)を中心とした ZHDグループの顧客基盤とLINEの顧客基盤(国内月間アクティブユーザー数8,200万人、海外月間アクティブユーザー数1.04億人) を相互に活用し、お互いのサービスをシームレスに連携させることで、相互送客によるユーザー基盤の最大化を図っていく
< 両社のシナジー >
世界でも初めての大手コミュニケーションサービスと大手メディアサービスの統合により、以下のシナジーにも波及していくと期待
1)マーケティング事業におけるシナジー
ZHD/ヤフーとLINEのマルチビッグデータを活用することで、日本でマーケティング活動をする全ての企業が、より効率的なマーケティング活動を行える
2)集客におけるシナジー
LINEの国内8,200万人のユーザー基盤を有するコミュニケーションプラットフォームと、ZHD/ヤフーのeコマースサービス(ヤフーショッピング・PayPayモール・PayPayフリマ・ヤフオク!・ZOZOTOWN・ヤフートラベル・一休.comなど)が連携することにより、eコマースサービスを始めとした、ZHDグループの各サービスへの集客効果が期待される
3)Fintech事業におけるシナジー
両社が積極的に推進しているペイメント及び金融事業において協業することで、更なるユーザーの拡大や利用可能店舗の拡大等、ユーザー・店舗双方にとっての利便性向上が期待される
4)新規事業/システム開発におけるシナジー
開発人員の拡大、両社のシステム開発のノウハウの共有により、ユーザーにとってより魅力的なサービス作りができる
<感想>
本件は、競争激化への危機感、インターネットの流れ・AIの流れの速さへの危機感がトリガーとなった、ヤフーとLINEの経営統合案件。
両社の統合によるグローバルベースでの活躍を期待したい。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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