元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、刑事とは違う民事での事実認定?

【 刑事では有罪、民事では無罪:インサイダー情報の提供】


 2020/2/18、日経電子版に『インサイダー、民事は「無罪」 証券側の請求棄却』記事が掲載された。
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO55772960Y0A210C2CZ8000

 以下は、「民事事実認定と刑事判決との関連」より。
https://chuo-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=8878&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1


「V むすび」(P25)からの一部抜粋

 民事訴訟において刑事判決の理由として認定された事実に反する事実を認定することは妨げられない。このことは,裁判の独立,両者の証明度の差異など原理的観点から正当化されるが,民事事実認定と刑事事実認定とが乖離する場合には,相応の論拠が求められる。実際には,刑事訴訟で被告人が有罪となった場合には,刑事訴訟の方が民事訴訟よりも事実認定における証明度が高いことから,民事訴訟にも影響が大きく,証拠関係が大きく異なることがなければ同様の事実認定(民事責任も積極)がされ ることになる。


< 本件(民事事実認定と刑事事実認定とが乖離)の相応の論拠 >

「インサイダーした知人男性の情報の入手先が元執行役員」との刑事事実認定が、知人男性の証言が「具体性に欠け、変遷も多く、検察官の誘導で得られた部分も多い」として、民事では認められない

⇒ 「インサイダー情報の提供に関与した」との刑事事実認定を「推認できない」として、証券会社の損害賠償請求を棄却


<感想>
 本件は、発生当時所属していた証券会社で起こったインサイダー関連事案。
 民事事実認定の通りであることを祈念している。

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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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