元証券マンが「あれっ」と思ったこと

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あれっ、京都のネット安楽死事件は4要件を逸脱? 

安楽死の4要件 】


 京都のネット安楽死事件で「4要件を逸脱」という記事を見た。
 
 以下は、医療安全推進者ネットワークの医療事件判決紹介コーナーからの一部抜粋。
http://www.medsafe.net/contents/hanketsu/hanketsu_0_72.html


No.68「医師が末期患者に薬物を注射して患者が死亡。医師による積極的安楽死として許される要件を満たしていないとして、医師に殺人罪を適用。懲役2年、執行猶予2年に処した判決」


安楽死の要件

 裁判所は、「確立された不変のものとして安楽死の一般的許容要件を示すことは困難」であるが、「今日の段階において安楽死が許容されるための要件を考察する」としたうえで、
 「本件で起訴の対象となっているような医師による末期患者に対する致死行為が積極的安楽死として許容されるための要件をまとめてみると、
1:患者が耐え難い肉体的苦痛に苦しんでいること、
2:患者は死が避けられず、その死期が迫っていること、
3:患者の肉体的苦痛を除去・緩和するために方法を尽くし他に代替手段がないこと、
4:生命の短縮を承諾する患者の明示の意思表示があること、
ということになる」と判示しました。


本件医師の具体的行為の評価
 裁判所は、A医師が行った「ワソラン及びKCLの注射については、・・・右注射を行った時点では、そもそも患者は意識を失い疼痛反応もなく何ら肉体的苦痛を覚える状態にはなかったのであるから、安楽死の前提となる除去・緩和されるべき肉体的苦痛は存在しなかったのである。」と判示し、A医師の行為は、積極的安楽死としての許容要件を満たすものではなかったと認定しました。

 

< 判例全文 >
https://square.umin.ac.jp/endoflife/shiryo/pdf/shiryo03/04/312.pdf


< ご参照 >
1.2018/3/14 厚生労働省
「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の改訂について

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000197665.html

人生の最終段階における医療の在り方に関し、
・医師等の医療従事者から適切な情報提供と説明がなされ、それに基づいて患者が医療従事者と話し合いを行った上で、患者本人による決定を基本とすること
・人生の最終段階における医療及びケアの方針を決定する際には、医師の独断ではなく、医療・ケアチームによって慎重に判断すること

 

2.進研ゼミ【現代の諸課題と倫理】尊厳死安楽死について
https://kou.benesse.co.jp/nigate/social/a13n0510.html
尊厳死:消極的安楽死

 

 

<感想>
 安楽死には、最低でも、1)患者本人による明示の意思表示と、2)医師の独断ではなく、医療・ケアチームによって慎重に判断されること、が必要なようだ。

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