元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、京阪神ビルディング宛てTOBの狙い?

 

京阪神ビルディング:ストラテジックによるTOB

 


 2020/11/5、京阪神ビルディング(8818)が、「株式会社ストラテジックキャピタル及びUGSアセットマネジメント株式会社による当社株券に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」を開示した。
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS01818/5883a17c/c839/4253/bd2e/b23e044adada/140120201105415842.pdf

 以下は時系列経緯の概要。

 


2020年10月7日
ストラテジックキャピタルは、当社取締役会に対してデューデリジェンス協力を申入れ(「本件申入れ」)


2020年10月23日
独立した立場にある社外取締役及び社外監査役から構成される独立諮問委員会は、 ストラテジックキャピタルに対し、2020年11月6日を回答期限とした質問状を送付

⇒回答がない状況下でTOBが突然開始


2020年11月4日
「サンシャインH号投資事業組合による京阪神ビルディング普通株式(8818)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」に、本件申入れの協力が得られていない旨をTOB開始の理由の一つにあげている

当社としては、今後、公開買付届出書等の内容その他の関連情報を精査した上で、速やかに当社の見解を公表する予定


終値推移
2020/11/4 1,789円、11/5 2,138円、11/6 2,177円

 


< ストラテジックキャピタル >
2018年2月以降、対象者と面談、書面及び株主総会の場での質疑応答等を通じて対話を継続しており、2019年12月25日にはストラテジックキャピタルと対象者との対話内容を含む対象者に関する特集サイト「京阪神ビルディングの株主価値向上に向けて」(https://realize-value-keihanshin.com/)を開設


過去の株主提案
1.株主価値向上を推進するための社外取締役候補者の提案
・株主提案1(招集通知上の第5号議案)

2.REIT運営会社設立のための定款変更
・株主提案2(招集通知上の第6号議案)

3.保有不動産の潜在価値実現のための資産譲渡
・株主提案3(招集通知上の第7号議案)

4.資本効率性改善のための政策保有株式売却
・株主提案4(招集通知上の第8号議案


買付予定数の上限の決定

公開買付者は、株主としての対象者への発言権を強化し、対象者の現経営陣に経営方針を転換していただくことをTOBの目的とすること、対象者の過去の株主総会における議決権行使状況等に鑑みて、公開買付者と不応募株主のTOB後の所有割合にして30%前後の対象者株式を保有すれば、TOBの目的を達成することができる可能性が十分にあると判断した。
なお、不応募株主の所有割合も合算して考慮すべき理由は、「公開買付者及び不応募株主の関係図」のとおり、不応募株主においては、議決権行使を含む投資判断の一任を受けているのが、公開買付者の業務執行組合員であるストラテジックキャピタル及びUGSAMであるため。

 

他方、公開買付者は必要に応じて特別決議を阻止することが実質的にほぼ可能となる水準に達しなければ、発言権の強化にはつながらず、TOBの目的を達成することができないと判断したため、実質的な拒否権を取得できる水準を見据えて必要となる所有割合を注3のとおり算定した結果、買付予定数の下限及び上限と同一株数とし、買付予定数の上限及び下限を10,206,100株(公開買付者及び不応募株主の合計で15,245,500株。所有割合:29.33%)に設定した。

 

(注3)2020年6月開催の第97回定時株主総会の議決権の数は519,341個だったが、2020年9月28日付の訂正臨時報告書によれば行使された議決権は議決権の数全体に対して89.27%に相当。同様に議決権行使率を算定すると、第96回定時株主総会は84.40%、第95回定時株主総会は82.51%

 


ご参考:日経電子版「もの言う株主京阪神ビルにTOB
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65842630U0A101C2DTA000/?s=6

TOB期間:11月5日から12月17日
TOB価格:1株1900円(4日終値1879円)
予定株数:1020万6100株(発行済株式数の約20%)
ストラテジックは、20年9月末時点で共同保有者を含め10%弱の株式を保有TOBが成立すれば、保有割合は3割に高まる見通し

 


<感想>
 本件は、京阪神ビルディングに対するストラテジックキャピタルによるTOB
 取得予定株数は、議決権行使比率を考慮した、株主総会で拒否権発動可能な1/3の水準に設定したもの。
 最終的な狙いは高値での売却による利益獲得であろうが、20%弱を保有するSMBCグループの意向を含めた対応策に注目したい。

 

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