元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、事前連絡なしのTOB?


【 日本製鉄:東京製綱宛てTOB

 


 2021/1/22、日経新聞に、日本製鉄(5401)によるTOBに関する、東京製綱(5981)の記事が掲載されていた。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO68396420R20C21A1TJ2000

 


< 新聞記事 >
東京製綱は21日、日鉄によるTOBの公表について「何らの連絡もなく、一方的かつ突然に行われたものだ」との認識を示した。

発表したコメントでは「内容を精査し、速やかに見解を公表する」とし、東京製綱の株主に対して「慎重な行動」を呼びかけた。

 


< TOBの目的と背景 >
https://www.nipponsteel.com/common/secure/news/20210121_100_02.pdf

 

 

目的:東京製綱の自律的な企業価値回復・向上の支援

 

・東京製綱株式会社は、1887年創業のワイヤロープ製造における国内トップメーカー。コア事業である ワイヤロープ製造において、極めて高い技術力とブランド力を有しております。

 

・当社は、前身である富士製鐵当時の1970年より東京製綱に資本参加し、その後2001年に東京製綱から出資拡大の要請を受けて株式を追加取得し、現在は東京製綱の株式9.9%を保有する筆頭株主です。 こうした経緯から、当社は、東京製綱の原料メーカー・開発パートナーとして、長年にわたり協力関係を構築してまいりました。

 

・東京製綱は、近年、現在の経営方針に起因してその業績は悪化の一途を辿っております。当社は長年に亘る株主かつ事業上のパートナーとしての立場から対話を継続しつつ、現状の問題点を率直に指摘し、直近数年間の定時株主総会においては取締役の選任に反対を投じるなど、可能な限り警鐘を鳴らしてまいりました。

 

・しかしながら、東京製綱は、本来の高い技術力とブランド力を十分に発揮すれば自律的な経営改善が可能であるにもかかわらず、これまで経営上の問題点に対して対応策を講じることができず、また、企業価値の回復・向上策についての具体的な協議が進展しない状況に陥っています。

 

・この状況をこれ以上放置し続ければ、東京製綱の株主、取引先、従業員を始めとするステークホルダーの利益をさらに害する恐れがあることから、当社は、東京製綱の株式追加取得を通じて株主としてのコミットメントを高め、企業価値の回復・向上に寄与することを目的として、本公開買付け(上限19.9%)の実施を決議いたしました。

 

・今後、当社は、東京製綱が独立した上場会社として適切なガバナンス体制を再整備し、東京製綱社内の人材により経営を再建することが望ましいと考えており、その実現に向けて、東京製綱との間でより踏み込んだ協議を行ってまいります。

 


<感想>
 東京製綱の田中会長(1943/1生まれの78才。1967/4富士製鐵入社)の取締役在任期間は19年を超えている。
 日本製鉄(遠藤会長:1949/9生まれ。1973/4新日本製鐵入社)は、東京製綱が度重なる警鐘に耳を貸さなかったため、TOBに踏み切らざるを得なかったように思われる。

 

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