【 北方領土問題:サンフランシスコ平和条約前後の米ソ冷戦 】
2021/1/18の菅総理施政方針演説で、2018年のシンガポールでの日露首脳会談のやり取り(2島返還)の承継に触れていた。
4島返還主張の背景について、2006年の衆議院での鈴木宗男議員の質問/答弁書から想定してみたい。
< 4島返還の背景(想定) >(添付(われらの北方領土 資料編 2019年度版):
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000035454.pdf)
1951年のサンフランシスコ平和条約では北方領土の国境線があいまいであったが、
1.1956/9/7の米国国務省の覚書、「米国は、歴史上の事実を注意深く検討した結果、択捉、国後両島は(北海道の一部たる歯舞群島及び色丹島とともに)常に固有の日本領土の一部をなしてきたものであり、かつ、正当に日本国の主権下にあるものとして認められなければならないものであるとの結論に到達した。」(添付P23)との見解、及び
2.1954/11/7の北海道上空において米国の飛行機が撃墜された事件に関し、米国政府がソ連政府にあてた1957/5/23付けの書簡において、サンフランシスコ平和条約における「千島列島」という字句が「歯舞群島、色丹島又は国後島、択捉島を含んでもいなければ含む様に意図されもしなかったということを繰り返し言明する。」(添付P23)旨述べられた、ことから
3.1956/10/19付け署名の日ソ共同宣言時点(「ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国の要望にこたえかつ日本国の利益を考慮して、歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。」)では2島(歯舞群島及び色丹島)返還で良いと考えていたが、
米ソ冷戦の進展に伴い、4島返還に舵を切ったものと想定した。
< 衆議院議員鈴木宗男君提出サンフランシスコ平和条約における北方領土問題の取扱に関する質問主意書と答弁書 >
質問本文(2006/10/23)
http://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a165107.htm
答弁書(2006/10/31)
http://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b165107.htm
一 一九五一年のサンフランシスコ平和条約第二条(c)項において、「日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。」と規定されているが、ここで我が国が放棄した千島列島に所属する島々の名前を明らかにされたい。
答弁書:
日本国との平和条約(昭和二十七年条約第五号。以下「サンフランシスコ平和条約」という。)第二条(c)にいう千島列島とは、我が国がロシアとの間に締結した千八百五十五年の日魯通好条約及び千八百七十五年の樺太千島交換条約からも明らかなように、ウルップ島以北の島々を指すものである。
質問主意書:
二 我が国が放棄した千島列島に所属する島々について、米国も同一の認識を持っているか。持っているとするならば、その根拠を明確に示されたい。
三 我が国が放棄した千島列島に所属する島々について、英国も同一の認識を持っているか。持っているとするならば、その根拠を明確に示されたい。
答弁書:
米国国務省は、千九百五十六年九月七日付けの覚書において、「米国は、歴史上の事実を注意深く検討した結果、択捉、国後両島は(北海道の一部たる歯舞群島及び色丹島とともに)常に固有の日本領土の一部をなしてきたものであり、かつ、正当に日本国の主権下にあるものとして認められなければならないものであるとの結論に到達した。」との見解を明らかにしている。
さらに、千九百五十四年十一月七日に北海道上空において米国の飛行機が撃墜された事件に関し、米国政府がソヴィエト社会主義共和国連邦(以下「ソ連邦」という。)政府にあてた千九百五十七年五月二十三日付けの書簡において、サンフランシスコ平和条約における「千島列島」という字句が「歯舞群島、色丹島又は国後島、択捉島を含んでもいなければ含む様に意図されもしなかったということを繰り返し言明する。」旨述べられている。
英国政府の見解は、英国政府との関係もあり、お答えを差し控えたいが、一について述べた我が国の認識を否定するものではないと考えている。
質問主意書:
四 我が国が放棄した千島列島に所属する島々について、ロシアも同一の認識を持っているか。持っているとするならば、その根拠を明確に示されたい。
答弁書:
サンフランシスコ平和条約の当事国でないソ連邦及びこれを承継したロシア連邦は、同条約の文言を解釈する立場にない。
質問主意書:
五 政府は千島列島並びに日本国が一九〇五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島の主権がロシアに帰属していると認識しているか。
六 政府は千島列島並びに日本国が一九〇五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島の主権の問題は、米国、英国を含む連合国が決定すべき性格の問題と認識しているか。
答弁書:
我が国は、サンフランシスコ平和条約に基づき、千島列島及び我が国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部等に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄しており、その帰属についての見解を述べる立場にない。
以下略
<感想>
北方領土の4島返還が刷り込まれてきたが、日ソ共同宣言にある2島(歯舞群島及び色丹島)返還が筋であると思われる。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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