元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、賃金が伸びないのは日銀の金融政策のせい?

 

【 日銀の金融政策 】


 2021/3/15、高橋洋一氏が、現代ビジネスに『賃金の伸びが低すぎる…メディアや日銀が理解していない「日本のヤバい現実」』を掲載された。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81173?imp=0

 以下は一部抜粋。

 


OECDの実質平均賃金データを確認しておこう。略然たる事実として、日本の順番は、1990年22ヶ国中12位、2000年35ヶ国中15位、2010年35ヶ国中21位、2019年では35ヶ国中24位である。

 


日本の名目GDPが1990年からほとんど伸びていないことは、世界で最も低い伸びであり、先進国の中でも際立っている。そのくらい名目経済が成長していないので、その成果の反映である賃金が伸びていないのは、ある意味当然の結果である。

 


筆者がこれまで調べたものの中で、名目GDPと最も相関が高いのは、マネー伸び率だ。世界各国データでみても、相関係数は0.7~0.8程度もある。筆者は、マネー以外に名目GDP伸び率を長期にわたって上手く説明できる要因を知らない。

 

1990年の後の30年間では、日本のマネーの伸び率は、148ヶ国中、最下位である。その結果、名目GDPの伸び率も最下位だ。

 

ここで、重要なことは、中央銀行による金融政策でかなりマネーをコントロールできるのだ。要するに、デフレの時代、失われた時代の犯人は中央銀行が主犯であると、筆者は30年近くも言っている。

 


ポイントは、株価の上昇は、当時の証券会社が行っていた「営業特金」が違法まがいの取引として横行していたのが主因だ。

 

そこで、その適正化のために、1989年年末に取引規制が行われ、ある意味で「想定どおり」に株価は下がっていった。

 


バブル崩壊時の金融引き締めは「正しかった」ので、その後も金融を引き締め続けたというわけだ。長期にわたる日銀の間違いは極めて強力であったので、上に述べたように、マネー伸び率を世界で圧倒的にビリにするほどだった。

 

しかも、その間違いの中、日銀はとんでもないことを言っていた。なんと、マネーは、経済活動の結果であって、管理できないといっていた。マネーの管理を放棄するような中央銀行ははっきり言って落第だ。できないなら中央銀行は不要だからだ。1990年代にはこうした馬鹿げた議論が実際にあった。

 

2000年代になっても、日銀はインフレ目標を否定していた。むしろ、デフレを指向していた。いわゆる「いいデフレ論」だ。

 

その代表格が、白川日銀時代だ。リーマンショックですべての先進国が猛烈な金融緩和をする中で、日本だけが金融緩和せずに、猛烈な円高を招き、日本だけが「刷り負け」て、リーマンショック震源地でもないのに経済不振になってしまった。

 

そうした日銀の失敗は徐々に修正されてきた。安倍政権になると、世界の先進国では最後だがようやくインフレ目標が導入され、日本もまともになりだした。2000年代初めのような愚かな議論はなくなった。それでも、デフレとはいえないが、胸を張ってデフレ脱却まではいっていない。いずれにしても、失われた20年はなんとも痛恨だ。

 


未だに「リフレ派なんて」と非常識な呼び方をするのが、日本である。リフレ派は、2%程度のインフレ目標を入れて、失業率を最小にした経済成長を目指している。

 

こうした基本政策をやらなかったから、失われた20年間でデフレになり、その結果、名目GDP伸び率が世界でビリ、賃金の伸びもビリになった。それが今の現実だ。

 

時間をかけて、まともな金融政策を含めたマクロ経済政策をやっていくしかない。日銀の政策検証で必要なことは、過去30年間の日銀の間違いを総括することだ。

 


<感想>
 もし、日銀が過去30年間、的確な金融政策でマネーをコントロールしていたならば、デフレが継続することなく、もっとまともな日本になっていたかと思うと残念でならない。

 

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