元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、GDP成長率(速報)は年率▲5.1%?

 

【 2021年1-3月期GDP成長率(速報):実質▲1.3%(年率▲5.1%) 】

 

 現在、「日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門」(藤沢数希著、ダイヤモンド社)を読書中。

 以下は、本書からの一部抜粋。

 


第2章 小一時間でわかる経済学の基礎知識

 

GDPをもっと理解する

 

GDPの恒等式を見ていきましょう。国内で生産されたモノとサービスと海外で生産されて輸入されたモノとサービスが、国内で消費されて、さらにあまったモノとサービスが輸出されると考えると次のようになります。

 

 GDP+輸入=国内総支出+輸出

 

GDPというのは、このように1年で生産されたモノとサービスのフローを見る概念です。国内総支出を民間の消費と投資、政府の支出に分解してやると、結局のところ、GDPというのは、

 GDP=民間消費+民間投資+政府支出+輸出-輸入

となります。

 この式は覚えておくといろいろ便利です。要するに国内で生産されたモノとサービスと輸入されたモノとサービスは、国内で民間が消費するか、民間で投資に回されるか、政府が公共事業などで購入するか、輸出されるか、ということです。恒等式というのはA+B=B+Aみたいに常に成り立つ関係を表す式のことです。常に式が正しくなるようにそれぞれの変数の意味を定義してあるので、この式自体は完全に正しいものです。


 実質GDP=名目GDP÷GDPデフレーター

 

 この式を見ると日本の問題点が凝縮していますね。ひとつ目の問題点は経済の成長が停滞して、経済のパイであるGDPがぜんぜん増えていないことです。ふたつ目の問題点がデフレ経済で物価水準を表すGDPデフレーターが毎年どんどん下がっていくことです。


 1990年に土地バブルが崩壊してからの失われた20年の間に、日本のGDPはほとんど増えませんでした。しかしこの間に欧米や中国などの新興国は大きくGDPを増やしました。日本だけが世界の成長に置いていかれたのです。

 


参考)2021/5/18発表の2021年1-3月期GDP速報(1次速報値)
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2021/qe211/pdf/qepoint2111.pdf

 

GDP成長率:実質▲1.3%(年率▲5.1%。3四半期ぶりのマイナス成長)、名目▲1.6%(年率▲6.3%)

 

国内需要内需):▲1.1%(3四半期ぶりのマイナス寄与)

 

民間最終消費支出:実質▲1.4%(3四半期ぶりの減少。外食、自動車等が減少に寄与)

 

民間住宅:実質1.1%増(2四半期連続の増加)

民間企業設備:実質▲1.4%(2四半期ぶりの減少。通信機械・同関連機器、自動車への投資の減少が寄与)

民間在庫変動のGDP寄与度:実質0.3%(実質の在庫残高が2020年10-12月期の減少(▲1.0兆円)⇒2021年1-3月期は増加(0.5兆円))

 

政府最終消費支出:実質▲1.8%(4四半期ぶりの減少。医療費等が減少に寄与)

 

財貨・サービスの純輸出(外需):▲0.2%(3四半期ぶりのマイナス寄与)

GDPデフレーター:季節調整済前期比▲0.3%。前年同期比▲0.2%

 


2020年度のGDP
2020年度の実質GDP成長率:前年度比▲4.6%(2年連続のマイナス成長)
民間最終消費支出(寄与度▲3.3%)、民間企業設備(寄与度▲1.1%)
内需:▲4.1%
外需:▲0.6%

 


<感想>
 コロナ渦で内需も外需もマイナス成長となるのは自明なため、公共事業等の政府支出の大幅な増加が必要だ。

 

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