元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、親子会社間の貸付時に取締役会決議は必要?

 

【 会社から子会社へ貸付時の取締役会決議 】

 


 親会社から子会社へ貸付時の取締役会決議の必要性について、以下のWebsiteから考えてみたい。

 


「親会社から子会社への貸付と取締役の責任」
http://www.3776150.info/6/050.html

 


子会社への貸付けが適切かどうか、十分に審議されたか

 

 子会社への貸付けについて、親会社の取締役会において、貸付けをして援助することによる子会社の業績の回復の可能性等子会社への貸付けの必要性を十分審議したうえで親会社の利益を図る目的で貸付けをし、子会社の管理等を行っている等、貸付行為をしたことが合理的な選択であり、取引の通念からみて誠実に行われている場合は、結果として貸付金の回収ができず会社に損害を与えたとしても会社に対し損害賠償責任を負うということにはならない。

 


< 裁判例 >
 経営不振に陥った子会社を救済するために危険ではあるが事業の好転が期待できるとして新たな融資を継続した場合において、たとえ子会社再建が失敗に終わりその結果融資を与えた大部分の債権を回収できなかったとしても、その取締役の行為が親会社の利益を計るために出たものであり、かつ、融資の継続か打切りかを決断するにあたり企業人としての合理的な選択の範囲を外れたものでない限り、これをもって直ちに忠実義務に違反するものとはいえないとしているものがある。


 親会社の取締役が子会社の代表取締役を兼務しているような場合、子会社に貸付けをすることは親会社の取締役に貸付けをすることと同様の問題があり、親会社の取締役会の承認が必要となるかが問題となる。以下、取締役の兼務のそれぞれの場合について。

 


1.取締役がいずれにおいても代表取締役でない場合
 この場合は、親会社、子会社のいずれにおいても取締役会の承認は必要とはされない。ただし、貸付けについて親会社の取締役に善管注意義務、忠実義務違反がある場合は、損害賠償責任が生じることはある。

 


2.親会社の取締役が子会社の代表取締役を兼務している場合
会社法の自己取引、貸付けの趣旨からすると原則として親会社の取締役会の承認が必要となる。
そして、この場合に子会社を救済するために貸付けを行ったが、結果としては、子会社が倒産し、回収不能となったような場合は、貸付けに賛成した親会社の取締役は、その弁済の責任を負うこととなる。
これに対し、親子会社の場合に子会社を救済する目的で融資をした場合まで、親会社の取締役会の承認を必要とするのは形式的に過ぎ、実質的には会社と取締役との間に利益が相反していないとするものもあり、少なくとも親会社が子会社の唯一の株主である場合は、実質的には完全同一体であり、利益相反は生じていないとして取締役の承認は、必要とされないとする考えが有力。また、このような親子会社間の貸付けが自己取引となる場合については、取締役会決議に賛成した取締役に無過失責任を負わせることとなるのは妥当ではないとする考えもある。

 


3.親会社の代表取締役が子会社の代表取締役を兼務している場合
この場合も、親会社については、取締役会の承認が必要となるため、前記と同様の問題が生じてくる。子会社についても、取締役会の承認が必要となってくるが、親会社が子会社の唯一の株主である場合は、子会社の取締役会の承認は必要とされていない。また、この場合、親子会社にそれぞれ別に他の代表取締役がいて、その他の代表取締役が親会社、子会社を代表して貸付けをし、兼務する代表取締役が直接貸付けに関与しない場合は、原則的に親会社、子会社とも取締役会の承認は必要とはされていない。

 


4.親会社の代表取締役が子会社の取締役を兼務する場合
この場合には、子会社の取締役会の承認が必要とされる。
取締役会における承認が必要であるにもかかわらず、その手続をとらずに貸付けを行った場合は、その貸付けは無効となり、法令違反行為としてその貸付けを実行した取締役は、この貸付けによって会社に生じた損害を賠償する責任を負うこととなる。

 


<感想>
 親会社の取締役が完全子会社の代表取締役を兼務している場合で、親会社が完全子会社宛て貸付けする際は、子会社の取締役会の承認は不要ながら、救済目的以外では会社法の自己取引の観点から、親会社の取締役会の承認は必要となりそうだ。
 その場合、子会社の業績の回復の可能性等、子会社への貸付けの必要性を十分審議することが必要となるものと思われる。

 

----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら http://tsuru1.blog.fc2.com/
----------------------------------------------------------------------