2022/5/2、高橋洋一さんが、現代ビジネスに『「円安」は国を滅ぼすどころか、国益そのものだ!池上彰氏がわかっていないこと』を掲載された。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/94970?page=1&imp=0
以下は一部抜粋。
まったくの間違い
あるテレビ番組をみたら、吹き出してしまった。4月30日の「池上彰のニュース そうだったのか」だ。
そこでは、円安の要因を3つ挙げていた。(1)戦争の長期化で日本経済に影響、(2)貿易赤字の影響、(3)日米の金利差──。
筆者が採点すれば、30点だ。
(1)はまったくの間違い。番組では「戦争長期化で日本の経済が悪くなるから、円安になる」と説明していたが、はたしてそうか。
日本のロシア経済依存度は欧州より低い。また、先週の本コラムで紹介したIMFの世界済見通しによれば、欧米は2022年の経済成長率は2021年より低くなるが、日本の2022年の経済成長は2021年より高くなるとされている。
(2)については、為替が貿易収支では決まらないことを、基本理論として習わなかったのか。
貿易収支が為替に影響があったのは、資本取引が制限されて為替取引の大部分が貿易収支関係だった何十年前の話だ。いまや為替取引のほとんどは自由な資本取引によるものであり、貿易収支の影響はほとんどない。
(3)は、基本的には正しい。もっとも、大学できちんと為替理論を学んでいれば、為替は二国間の通貨の交換比率であり、二国間の金融政策の差で決まるというのが模範解答だ。
金融政策は金利かマネタリーベースでみるから、二国間の金利差というのは間違いではない。しかし、二国間の通貨の交換比率という観点から、為替は二国間のマネタリーベースの比にほぼ等しくなるので、二国間のマネタリーベースの比というほうがよりよい回答だ。
中小企業の代弁か、日本経済全体を考えるか
中小企業庁による規模別輸出額・輸入額を見てみよう。この統計は、残念ながら2012年をもって廃止されたが、その数字でも基本的な特徴がわかる。
輸出額について、中小企業分、大企業分、共存分でわかれているが、2012年でそれぞれの比率は1.4%、39.1%、59.5%。輸入額については、それぞれ35.9%、31.6%、32.5%。
エクセレント企業に恩恵のある円安の方が日本経済全体のGDPを押し上げる効果がある。これは、日本に限らず世界のどこの国でも見られる普遍的な現象だ。輸出の多寡により効果は異なるが、いずれも自国通貨安はGDPへプラス効果がある。
自国通貨安はしばしば近隣窮乏化策とも言われるが、それは逆にいえば自国経済はよくなることを意味している。この意味で、「円高は国益」は誤りだ。
つまり黒田総裁の発言は、日本経済全体を考慮したものだ。なお、円安でGDPが増えれば雇用にもプラスになるので、労働者のためになる。
ちなみに、先に掲げたIMFの世界経済見通しで、なぜ2022年の日本だけが経済成長するのかと言えば、日本だけが金融緩和している効果が世界経済のマイナスを補っているからだ。冒頭に述べたテレビ番組などのマスコミ報道とはまったく違う景色だ。
<感想>
大企業/エクセレント企業に恩恵があり、日本経済全体のGDPを押し上げる効果がある円安。
黒田総裁の粘り強い、金融緩和継続姿勢を支持したい。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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