元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、指名委員会での反対を開示?


【 指名委員会:社外取締役の反対 】

 


 2022/6/6、日経電子版に、『東芝社外取締役の綿引氏「取締役の構成、バランス欠く」』の記事が掲載された。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC032VO0T00C22A6000000/

 以下は、一部抜粋。

 


――指名委員会で一部の取締役候補に反対しました。

「取締役構成の多様性や公平性でバランスを欠いていると判断せざるを得なかった。東芝では2019年に投資ファンド推薦の社外取締役4人を迎えている。そこに株主から2人を新たに迎える。特定の株主に偏っていると批判されてしまう」

 


――米資産運用会社ファラロン・キャピタル・マネジメントの今井英次郎氏、米エリオット・マネジメントのナビール・バンジー氏について反対しました。

「2人の個人の資質を問題にしているわけではない。
ただ2人を迎えるにあたって2社と結んだ合意書について必ずしも十分とは言えないと日本の法律家として判断した」

 


――どのような点を問題視していますか。

東芝は株主間に利害対立がある会社だ。
秘密保持を徹底することが不可欠だが、同意書で必ずしもその徹底が図られているとは言えない
たとえば、他の株主が接することができない非公開情報に、出身母体である株主が一定の条件下では取締役を介して接することができるようになっている。また例えば株式非公開化が進むときの再出資の禁止の条項でも、ほかの機関投資家との間で利益相反が生じかねない内容になっている」 

 


――反対意見の公表までしたのはどうしてですか。

「議論の過程で反対意見があるのは当然のことで取締役会が分裂しているということではない。会社として意見がまとまった以上、否定するつもりも全くない。ただ、今回の定時株主総会で株主のみなさまに判断してもらうため、私が反対した理由を伝えたかった」

 


――グループ全体を分割する案を公表しましたが、22年3月の臨時株主総会で否決されました。取締役の責任についてはどう考えていますか。

「会社として提案したのは取締役会で、株主に支持されないような提案をしたので、あえていうと取締役全員が退任してもおかしくないと思っている。ただ、全員が今退任してしまうと取締役会を構成できないという事態にもなりかねないので、続けることにした」

 


――綿引氏は分割案の策定を主導した「戦略委員会」の委員ではありません。

「戦略委だけの責任ではない。分割案を承認したのは取締役会であり、取締役全員の責任だ」

 


<ご参考>第183回定時株主総会招集ご通知
https://www.global.toshiba/content/dam/toshiba/jp/ir/corporate/stock/meeting/pdf/tsm183_conv.pdf

 

P8 「綿貫取締役は、今井英次郎氏及びNabeel Bhanji氏を候補者とすることに反対しております。」

 


<感想>
本件は、東芝の指名委員会で、社外取締役が取締役会候補者の内、2名の選任に反対したことを公表したもの。
今後、このように、満場一致とならないケースを積極的に開示する傾向が強まるものと思われる。

 

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