【 ネットフリックス:旧作に誘導するためのリコメンド機能 】
以下は、「この1冊、ここまで読むか!」(祥伝社、鹿島茂(フランス文学者 ALL REVIEWS主催)との対談)からの一部抜粋。
第1条 楠木建×鹿島茂
『NETLIX コンテンツ帝国の野望
ー戦略のヒントが詰まった一冊
人々を旧作に誘導するにはどうすればいいか
はるかに規模が小さい上に実店舗を持たないネットフリックスは、そんなに新作を揃えることができません。しかしお客さんの注文はインターネットで来るわけで、みんなその新作を借りたい。
だから、ずーっと品切れ状態になります。だからといって、もっとたくさん仕入れて在庫しておけるほどの資金力もネットフリックスにはない。じゃあ何ができるかと考えると、お客さんを旧作のほうに誘導できれば、在庫の稼働が平準化されて回転が上がる。これが原点なんですね。つまりネットフリックスの生命線は、新作ではなく旧作へと顧客を誘導することにあったわけです。
しかし、顧客は放っておくと新作を見たがる。彼らを旧作に誘導するにはどうすればいいか。そこでランドルフが考えたのは、人々の趣味嗜好を知ることです。その上でリコメンデーション(おすすめ)をかけていけば、その人が好きそうな旧作に引っ張っていけるんじゃないかと考えたんですね。
それができないとブロックバスターにはまったく歯が立たなかったので、ネットフリックスは腰を据えて顧客の利用状況や貸出の行動をトレースして、データ化し、ある数学のモデルでずっと回していけるアルゴリズムを組んだわけです。
ネットフリックスの強みは、そこに端を発しています。いまの時代になって「サブスクリプションですよ」「データですよ」「アルゴリズムですよ」なんてチャラチャラやってる会社がいっぱいありますけど、ネットフリックスは年季の入り方が違う。いまのネットフリックスがあるのは、この腰の据わったデータの収集と利用があったからです。
いまやネットフリックスは、みなさんご存じのように大変なお金を使って自らコンテンツを作る会社にもなりました。コンテンツメーカー兼ストリーミングの会社になったわけですが、郵便DVDレンタル会社時代から連綿と続けているデータとアルゴリズムを武器にしているところが、凡百の「データマーケティングの会社」とまったく違います。
<感想>
資金的余裕のあったブロックバスターは新作拡充可能だったのに対して、真逆のネットフリックスは旧作へ誘導せざるを得なかった。
人々の趣味嗜好を知って、旧作をリコメンドして、旧作に誘導する。
今日のネットフリックスの強みは、この郵便DVDレンタル会社時代から続けている「データの収集と利用」にあると思うと感慨深い
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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