元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、ホモ・サピエンスの遺伝子を残す工夫?


【 人類が生き延びたのは不利を補う工夫 】

 


 以下は、「この1冊、ここまで読むか!」(祥伝社鹿島茂(フランス文学者 ALL REVIEWS主催)との対談)からの一部抜粋。

 


第1条 成毛眞 ×鹿島茂
『絶滅の人類史』
ーなぜ人類は生き延びたのか?

 


ホモ・サピエンスネアンデルタール人の交配をめぐる謎

 

鹿島 何らからの理由で定住を始めると、これは農耕が始まる前の定住ですが、かなりの率で母系制になる。その母系制の一つのバージョンとして妻問婚というのがありますね。『源氏物語』を読むと頻繁に出てきますが、女の子の家にどこかから男がやってきて、後朝の別れをして帰って行くのが妻問婚。そこで生まれた子は、男女にかかわらずその母系集団で育てるわけです。
ホモ・サピエンスネアンデルタール人の交配が起きたとき、すでにホモ・サピエンスが双系制から母系制に変わっていたとすれば、ネアンデルタール人の男がホモ・サピエンスの女のところに妻問婚をしたはずです。すると、ネアンデルタール人の遺伝子がホモ・サピエンスの中に残るとわけです。反対に、ネアンデルタール人は母系社会ではなく、妻問婚もなかったからホモ・サピエンスの遺伝子はネアンデルタールの骨には残っていない。

 

成毛 なるほど。すごい説得力がありますね。いっぱい子孫を残すことが自分たちの遺伝子を残す最良の戦略だとすれば、子どもが生まれることがいちばん嬉しいわけだから、相手はネアンデルタール人でもデニソワ人でもかまわない。生まれた子を自分たちで育てたほうが得だという戦略は当然のように成立しますよね。

 


鹿島 ネアンデルタール人の脳容量が1550ccで、ホモ・サピエンスは平均が1350ccだから、200ccも少ない。体もネアンデルタール人のほうが頑丈にできている。ホモ・サピエンスは脳も少ないし、体も華奢なのに、サバイバルしたわけです。

 


成毛 大和のような大型戦艦は、俊敏な100機の飛行機に襲われると簡単に沈んでしまう。人類史と戦史は違いますけど、このアナロジーは「なるほど」と思いました。

 

鹿島 ビジネスでも、重工業タイプのハード産業が最終的に軽工業タイプのソフト産業に負けていくでしょ。重装備できるほどのリソースがない軽量の人類が最終的に勝っちゃったのは、その不利を補うための工夫ができたからだと思うんです。

 

 

成毛 ビジネスの話では、コンビニ対スーパーマーケットがそうです。コンビニは多死多産で、日本全国で毎日何百店も開いて、毎日何百店も畳まれている。一方の巨大スーパーマーケットは、畳むとなると新聞沙汰になるわけですよ。そう考えると、小売がコンビニにどんどんシフトしていったのは、人類と同じ戦略を取ったといえるのかもしれない。こういう本は、そういう読み方をするのも面白いですよね。今後どういう株に投資したらいいかとか、もしかしたらそこまで想像を膨らませられるかもしれないじゃないですか。

 


役に立たない基礎科学こそ実は役に立つ

 

鹿島 大学に入って、どの科目を取るか迷っている学生に、私は「自分がとりあえず面白いと思った科目は全部やめておけ」とアドバイスしています。いま面白いのは、かぎられた範囲の面白さでしかない。それより、むしろいちばんつまらないように見える科目を取ったほうがいい。そういう科目は教室がガラガラだし、先生を独占できるんだから、こんな素晴らしいことはないんです。

 

成毛 われわれ投資家も同じことを考えますね。みんなが買っている株を買っても儲かりません。

 


<感想>
 遺伝子を残す工夫をしたことで、脳も少なく、体も華奢なホモ・サピエンスがサバイバルした。
 業界大手に対抗するためには、限られた予算内での様々な工夫が必要であると思われる。

 

----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HP http://tsuru1.blog.fc2.com/
Twitter https://mobile.twitter.com/tsuruichipooh
----------------------------------------------------------------------