【 村井邦彦:若い頃の体験 】
今月の日経新聞の「私の履歴書」は、作曲家の村井邦彦氏。以下は、2月4日の一部抜粋。
磯部君は恐ろしく早熟な子どもで、中学に上がったばかりの僕にカミュの「異邦人」や「シーシュポスの神話」を薦めた。カミュは面白かったが、サルトルの「嘔吐(おうと)」は僕には難解だった。
磯部君の家にはグランドピアノがあり、次兄の克さんがジャズを弾いていた。磯部君はデイブ・ブルーベックやMJQなど、モダンジャズのレコードを聴かせてくれた。
2人でジャズ誌「スイングジャーナル」を定期購読し、レコード評を隅から隅まで読んで、次の小遣いでどれを買うか話し合った。
日比谷の映画館で一緒にヌーベルバーグの映画を見るのも楽しみだった。ゴダールやトリュフォーなど、当時のフランス映画はすべて見た。
ルイ・マル監督の「死刑台のエレベーター」はマイルス・デイヴィス、ロジェ・ヴァディム監督の「大運河」はMJQ……。ヌーベルバーグの映画には盛んにモダンジャズが使われていた。
若いころの体験は人の一生を決めてしまう。僕はその後いろんな音楽を聴いてきたが、自分の判断基準はすべて当時の体験に基づいていると言っていい。実存主義文学とヌーベルバーグ映画とモダンジャズが一体となって僕らの体に染み込んできたのだ。
銀座のヤマハでレコードや楽譜を買う習慣ができたこと、渋谷の恋文横丁にあったジャズ喫茶「デュエット」で大学生に交じって長時間レコードを聴いたこと……。磯部君との交流がなければ、僕の音楽人生もなかっただろう。
<感想>
村井氏のように格好の良い話では無論ないが、私自身も小中高校時代を過ごした山梨県大月市での体験が今の自分を決めてしまったように思われる。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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