元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、社外取締役がTOB関連決議に補足意見?

 

【 SBI新生銀行TOB応募推奨:取締役の補足意見 】

 


 2023/5/12のSBI新生銀行株式に対するTOB応募推奨の取締役会において、1人の社外取締役の反対に加えて、もう1人の社外取締役が補足意見を出していた。(その2)
https://corp.sbishinseibank.co.jp/ja/ir/main/0/teaserItems1/0/linkList/0/link/230512_tob2_j.pdf

 


寺田昌弘氏による補足意見

 本件の判断においてもっとも難しいのは、本取引の完了により可能となる公的資金の返済において、預金保険機構及び整理回収機構が「相応の期間」をかけて回収する要回収額の現在価値と本公開買付価格との間に実質的平等性を確保できるか否かである。公開買付者の説明によっても、要回収額の現在価値を具体的に算定することは事実上不可能であると、個人的には結論づけた。そして、このように、本公開買付価格が株主平等原則の観点からも公正な価格であると自信をもって判断できない以上、買付予定数の下限を設定し、当行の少数株主保護の観点からより望ましいと考えたものの、SBIHDらからの最終回答は、下限の設定には応じられないとの結論が機械的には導かれ得るところであるが、少数株主の利益に鑑み、次の2点について熟慮した。

 

公的資金返済は国民共通利益に資する当行の社会的責務である。また、当行の更なる企業価値向上を図る上で不可欠の前提といえ、当行及び当行役職員にとって長年の悲願でもある。今回、預金保険機構及び整理回収機構の理解・協力もあり、あと一歩てそれが実現し得るところまで漕ぎつけたにもかかわらず、現時点で定量的に判定することが不可能といえる株主平等性を強調し、その実現を止めてしまうことが国民共通の利益(当行少数株主の利益でもある。)に適うのか。

 

・本公開買付価格2,800円は、上記のとおり、株主平等原則の観点からも公正であるとまでは自信をもって判断できないものの、当行の足元の株価に照らしても、当行の本源的価値に照らしても、少数株主に対し本公開買付への応募を推奨できる水準には達していないとまではいえず(三菱UFJモルガン・スタンレー証券及びフロンティア・マネジメントからフェアネス・オピニオンが交付されている。)、仮に株主平等性を検証する情報提供が十分にできないにしても、本公開買付価格で売却する選択肢を少数株主に提供することの方が、むしろ少数株主の保護に資するのではないか。

 

これら2点も含め総合的に判断した結果、最終的に、当行株主に対し本公開買付への応募を推奨することが不適切とまではいえない、との結論に至ったものである。

 


<感想>
 取締役9名(内、社外取締役5名)の内、1人の取締役の反対意見に加えて、もう1人の社外取締役が補足意見を出していた。
 公的資金の返済と2,800円のTOB価格の観点から「応募推奨が不適切とまではいえない」との結論に苦渋の跡が見える。

 

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