元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、賞味期限の長い独自のコンセプト?

 

【 ストーリーとしての競争戦略 】

 


 先日、「ストーリーとしての競争戦略 ~優れた戦略の条件~ 」(楠木建著、東洋経済新報社https://str.toyokeizai.net/books/9784492532706/)を読み返してみた

 

 以下は一部抜粋(その4)

 


すべてはコンセプトから
筋の良いストーリーに独自のコンセプトは欠かせない

 

 戦略ストーリーにおけるコンセプトの重要性はいくら強調してもし過ぎることがありません。

 

 第一は、すべてはコンセプトから始まる、ということです。幸いにして、コンセプトづくりにはたいして投資は必要ありません。使うのは自分の頭だけです。思いついたアイディアがうまく転がっていかなくても、また考え直せばいいだけです。

 

 反対に、コンセプトをないがしろにしたままストーリーづくりに取りかかってしまうと、失敗は高くつきます。勝ち目のない事業に進出したり、誰も欲しくないような製品を開発したり、工場や従業員などの固定投資をドブに捨てるといった、取り返しのつかないことになりかねません。コンセプトの構想はある意味で「安上がり」な仕事ですが、逆にいえば、どんなに投資をしても、頭を使わなければ筋の良いコンセプトは生まれません。急ぐ必要はありません。コンセプトの構想にじっくりと時間をかけるべきです。本質的な顧客価値を捉えていると確信できるコンセプトが固まるまでは、ストーリーの細部を考えても意味がありません。コンセプトがしっかりしていないストーリーはしょせん砂上の楼閣です。

 

 スターバックスの意図する最終的な競争優位はWTPの増大です。「第三の場所」を提供することができれば、単にコーヒーを飲ませるよりも単価を高くすることができます。しかも、第三の場所は南の島のリゾートに行ってリラックスするという非日常ではありません。あくまでも日常的な経験ですから、顧客は習慣的に第三の場所に来るようになります。事実、1990年代後半には、スターバックスにの顧客は平均して週に18回来店するようになっていました。「高品質でおいしいコーヒーの提供」という見たままのコンセプトであれば、スターバックスはいまだにシアトルのローカルなコーヒー豆小売業者のままだったかもしれません。

 

 戦略のもう一つの本質である因果論理のシンセシスという意味でも、コンセプトは重要な役割を担っています。
 
 戦略の本質が因果論理のシンセシスにあるからこそ、コンセプトが大切になります。戦略ストーリーのシンセシスの基盤となるという意味で、コンセプトは「扇の要」の役割を担っています。ストーリーの起点がしっかりしていれば、そこから出てくる構成要素には初めから骨太の因果論理が備わってくるものです。「ユニークなコンセプトが固まれば、ストーリー作りの半分は終わったも同然」というのは、このことを指しています。

 

 「すべてはコンセプトから」ということは、裏を返せば、「すべてはコンセプトのために」ということでもあります。ストーリーに含まれるあらゆる構成要素が、コンセプトの実現に向かっていなければなりません。そうでなければシンセシスの一貫性が崩れてしまいます。筋の良いストーリーをつくるためには、コンセプトと因果論理でつながらない構成要素は意識的に切り捨てるという姿勢が大切になります。

 

 コンセプトは、顧客の喜ぶ姿が映画のシーンのように浮かび上がってくるような言葉でなくてはなりません。そのためには、そもそも誰を喜ばせるか、価値を提供するターゲットをはっきりさせる必要があります。

 

 「誰に嫌われるか」をはっきりさせる、これがコンセプトの構想にとって大切なことの二つ目です。ターゲットを明確にするということは、同時にターゲットでない顧客をはっきりさせるということでもあります。

 

 筋の良いコンセプトを構想するために大切なことの三つ目、たぶんこれが最も大切なことだと思うのですが、それは「コンセプトは人間の本性を捉えるものでなくてはならない」ということです。

 

 人間の本性とは、要するに、人はなぜ喜び、楽しみ、面白がり、嫌がり、悲しみ、怒るのか、何を欲し、何を避け、何を必要とし、何を必要としないのか、ということです。

 

 できるだけ賞味期間の長いストーリーをつくるためにも、人間の変わらない本性を捉えたコンセプトが大切になります。事業を取り巻く環境や機会は常に変化するものです。

 

 だから、「変わらないもの」としての人間の本性を捉えたコンセプトが必要なのです。

 


<感想>
賞味期限の長い、人間の本性を捉えた、筋の良い独自のコンセプトを創ってゆきたい

 

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