元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、天皇大権に基づく統治は特別な時代?

 

【 大学入試問題で読み解く「超」日本史 】

 

 

 先日、『大学入試問題で読み解く「超」世界史・日本史』(片山杜秀著、文藝春秋)を読んだ。

 

 以下は、一部抜粋。(その5)

 

 

【問題1】大日本帝国憲法日本国憲法
 次の二つの資料は、1889年に発布された大日本帝国憲法と、1946年に公布された日本国憲法の条文である。これを読んで、下記の問いに答えなさい。(問1から問4まですべてで400字以内)

 

資料1
第1条 大日本帝国万世一系天皇之ヲ統治ス
第4条 天皇ハ国ノ元首二シテ統治権ヲ総攬シ此ノ憲法ノ条規二依リ之ヲ行フ

 

資料2
第1条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。(以下略)

 


(問1)資料1にみるように、大日本国憲法は、天皇を「統治権」の「総攬」者と規定していたが、それに基づいて天皇は、いくつかの強大な権限を有していた。そのうち二つをあげ、その内容を簡潔に説明しなさい。

 

 外交権と統帥権。外交権は帝国議会の干渉を許さない天皇大権であり、外務大臣が単独で輔弼した。軍隊の最高指揮権である統帥権は、内閣からも独立した天皇大権であり、参謀本部と回文軍令部が事実上輔弼した。(駿台版2016 一橋大学前期)

 


(問2)大日本帝国憲法を全面的に変えた日本国憲法の草案は、連合国軍最高司令官総司令部GHQ)の直接の起草によるものであった。なぜ、GHQは直接起草に踏み切ったのか、その理由を説明しなさい。
 
 GHQの指示に基づき、日本政府は憲法問題調査委員会で憲法草案を作成したが、それは大日本帝国憲法を修正した程度の保守的なものだった。そこで、GHQ占領政策の最高決定機関である極東委員会の開会の前に、民生局で象徴天皇制・戦略不保持などを内容とする憲法草案を直接起草し、天皇制存続を既成事実化した。(駿台版2016 一橋大学前期)

 


(問3)GHQによる憲法草案の内容には、敗戦直後からの日本側のさまざまな試みが影響を与えていた。それを具体的に説明しなさい。

 

 高野岩三郎らによる民間の憲法研究会は、国民主権と象徴天皇を内容とする「憲法草案要綱」を発表したが、それはGHQ草案にも影響を与えた。(駿台版2016 一橋大学前期)

 


<感想>
皇紀2600年の中で、大日本帝国憲法の50数年におえる天皇大権(外交権、統帥権等)に基づく統治は、極めて特別な時代と位置付けられるだろうが、明治維新後の選択肢としては止むを得なかったものと思われる。

 

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