元証券マンが「あれっ」と思ったこと

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あれっ、不作為の国の罪?


【 旧優生保護法違憲判決 】

 


 2024/7/3、最高裁で、「旧優生保護法違憲」の判決が出た。 

 

 以下は、添付Webサイトの一部抜粋。(その1)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE255OB0V20C24A6000000/

 


優生保護法は「違憲」 最高裁大法廷、国に賠償命令

 

優生保護法 
「不良な子孫の出生防止」を目的に1948年に議員立法で制定された法律。知的障害や精神疾患、遺伝性疾患などを理由に、本人の同意がなくても不妊手術を可能とした。96年に母体保護法に改正され、手術規定はなくなった。 

旧法下で手術を受けた人は約2万5千人に及び、このうち約1万6千人は同意がなかったとされる。平成に入って手術を受けた人も231人確認されており、うち4人は同意を得ていなかった。

 

2019年4月には被害者らに一時金として一律320万円を支給する救済法が議員立法で制定された。請求期限は当初24年4月までとしていたが、29年4月まで延長された。こども家庭庁によると、支給認定を受けた人は24年5月末時点で1110人にとどまる。

 


1.令和4年(受)第1411号 国家賠償請求事件 令和6年7月3日 大法廷判決
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/162/093162_hanrei.pdf


2.令和5年(受)第1319号 国家賠償請求事件 令和6年7月3日 大法廷判決
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/159/093159_hanrei.pdf

 

P6~P7
厚生労働省の保管する資料によれば、昭和24年以降平成8年改正までの間に本件規定に基づいて不妊手術を受けた者の数は約2万5000人であるとされている。

 

日本政府は、平成18年12月に自由権規約委員会に提出した報告において、優生保護法に基づき適法に行われた手術については、過去に遡って補償する ことは考えていないとした。

 

イ 日本弁護士連合会は、平成19年12月、上記報告につき、国は、過去に発生した障害を持つ女性に対する強制不妊措置について、政府としての包括的な調査と補償を実施する計画を早急に明らかにすべきである旨の意見を公表した。

 

また、自由権規約委員会は、平成20年10月及び平成26年8月に採択した各総括所見 において、日本政府は本件総括所見における勧告を実施すべきであるとした。さらに、女子に対する差別の撤廃に関する委員会は、平成28年3月、日本政府の報告についての最終見解において、優生保護法に基づく強制的な不妊手術を受けた全ての被害者に支援の手を差し伸べ、被害者が法的救済を受け、補償とリハビリテーションの措置の提供を受けられるようにするため、具体的な取組を行うことを勧告するとした。

しかし、平成31年4月までの間、本件規定に基づいて不妊手術を受けた者に対し、補償の措置が講じられることはなかった。

 

P9~P10
憲法13条は、人格的生存に関わる重要な権利として、自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由を保障しているところ、不妊手術は、生殖能力の喪失という重大な結果をもたらす身体への侵襲であるから、不妊手術を受けることを強制することは、上記自由に対する重大な制約に当たる。したがって、正当な理由に基づかずに不妊手術を受けることを強制することは、同条に反し許されないというべきである。

 


昭和二十一年憲法
日本国憲法

十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 


優生保護法をここに公布する。
昭和二十三年七月十三日 内閣総理大臣 芦田均
法律第百五十六号 優生保護法


第二章 優生手術


(任意の優生手術)

第三條 医師は、左の各号の一に該当する者に対して、本人の同意並びに配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同樣な事情にある者を含む。以下同じ。)があるときはその同意を得て、任意に、優生手術を行うことができる。但し、未成年者、精神病者又は精神薄弱者については、この限りでない。

 

一 本人又は配偶者が遺傳性精神変質症、遺傳性病的性格、遺傳性身体疾患又は遺傳性奇形を有しているもの

二 本人又は配偶者の四親等以内の血族関係にある者が、遺傳性精神病、遺傳性精神薄弱、遺傳性精神変質症、遺傳性病的性格、遺傳性身体疾患又は遺傳性奇形を有し、且つ、子孫にこれが遺傳する虞れのあるもの

三 本人又は配偶者が、癩疾患に罹り、且つ子孫にこれが傳染する虞れのあるもの

 

(優生手術の審査)
第五條 都道府縣優生保護委員会は、前條の規定による申請を受けたときは、優生手術を受くべき者にその旨を通知するとともに、同條に規定する要件を具えているかどうかを審査の上、優生手術を行うことの適否を決定して、その結果を、申請者及び優生手術を受くべき者に通知する。

 

2 都道府縣優生保護委員会は、優生手術を行うことが適当である旨の決定をしたときは、申請者及び関係者の意見をきいて、その手術を行うべき医師を指定し、申請書、優生手術を受くべき者及び当該医師に、これを通知する。

 

(優生手術の実施)
第十條 優生手術を行うことが適当である旨の決定に異議がないとき又はその決定若しくはこれに関する判決が確定したときは、第五條第二項の医師が、優生手術を行う。

 

(人工妊娠中絶の審査の申請)
第十三條 指定医師は、左の各号の一に該当する者に対して、人工妊娠中絶を行うことが母性保護上必要であると認めるときは、本人及び配偶者の同意を得て、地区優生保護委員会に対し、人工妊娠中絶を行うことの適否に関する審査を、申請することができる。

 

一 別表中第一号又は第二号に掲げる疾患に罹つているもの

二 分娩後一年以内の期間に更に妊娠し、且つ、分娩によつて母体の健康を著しく害する虞れのあるもの

三 現に數人の子を有している者が更に妊娠し、且つ、分娩によつて母体の健康を著しく害する虞れのあるもの

四 暴行若しくは脅迫によつて、又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて、妊娠したもの

 

2 前項の申請には、同項第一号から第三号の場合にあつては他の医師の意見書を、同條第四号の場合にあつては民生委員の意見書を添えることを要する。

 


<感想>
平成19年以降、日本弁護士連合会や各種委員会が、政府宛て意見や勧告を繰り返したにも関わらず、平成31年まで政府が補償することはなかった。この間の不作為は許されようがないと思う。

 

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