【 夫婦同姓を定めた法律:最高裁判決で合憲 】
2021/6/23、最高裁判所で、夫婦同姓を定めた民法と関連する戸籍法の規定を「合憲」とされた。
令和2年(ク)第102号 市町村長処分不服申立て却下審判に対する 抗告棄却決定に対する特別抗告事件
令和3年6月23日 大法廷決定
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/412/090412_hanrei.pdf
主文 本件抗告を棄却する。
抗告費用は抗告人らの負担とする
<結論>
民法750条の規定が憲法24条に違反するものでないことは,当裁判所の判例とするところであり(最高裁平成26年(オ)第1023号同27年12月16日大法廷判決・民集69巻8号2586頁(以下「平成27年大法廷判決」という。)),上記規定を受けて夫婦が称する氏を婚姻届の必要的記載事項と定めた戸籍法74条1号の規定もまた憲法24条に違反するものでないこと は,平成27年大法廷判決の趣旨に徴して明らかである。
夫婦の氏についてどのような制度を採るのが立法政策として相当かという問題と,夫婦同氏制を定める現行法の規定が憲法24条に違反して無効であるか否 かという憲法適合性の審査の問題とは,次元を異にするものである。本件処分の時点において本件各規定が憲法24条に違反して無効であるといえないことは上記のとおりであって,この種の制度の在り方は,平成27年大法廷判決の指摘するとおり,国会で論ぜられ,判断されるべき事柄にほかならないというべきである。
<裁判官深山卓也,同岡村和美,同長嶺安政の補足意見>
選択的夫婦別氏制の採否を含む夫婦の氏に関する法制度については,子の氏や戸籍の編製等を規律する関連制度を含め,これを国民的議論,すなわち民主主義的なプロセスに委ねることによって合理的な仕組みの在り方を幅広く検討して決めるようにすることこそ,事の性格にふさわしい解決というべきであり(平成27年大法廷判決の寺田逸郎裁判官の補足意見参照),国会において,この問題をめぐる国民の様々な意見や社会の状況の変化等を十分に踏まえた真摯な議論がされることを期待するものである。
民法
第二節 婚姻の効力
(夫婦の氏)
第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。
(婚姻の届出)
第七百三十九条 婚姻は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。
2 前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。
(婚姻の届出の受理)
第七百四十条 婚姻の届出は、その婚姻が第七百三十一条から第七百三十七条まで及び前条第二項の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。
憲法
第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
戸籍法
第六節 婚姻
第七十四条 婚姻をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
一 夫婦が称する氏
二 その他法務省令で定める事項
<感想>
3人の補足意見にある通り、国民の様々な意見や社会の状況の変化等を十分に踏まえた真摯な議論が国会でなされることを期待している。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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