【 脚本家野木亜紀子:コタキ兄弟と四苦八苦 】
先日、Prime Videoで、『コタキ兄弟と四苦八苦』(主演:古舘寛治、滝藤賢一、芳根京子。脚本:野木亜紀子。監督:山下敦弘)を見た。
野木亜紀子は、『逃げるは恥だが役に立つ』、『アンナチュラル』や『MIU404』の脚本家。
以下は、『「逃げ恥」「アンナチュラル」の脚本家・野木亜紀子が生み出す高い“密度” 映画『罪の声』で原作にない創作シーンをあえて入れた意図は?』からの一部抜粋。
https://s.cinemacafe.net/article/2020/11/06/69809_3.html?amp=paging
“原作あり”と“オリジナル”作品の創作スタイル
ー「逃げ恥」や今回の『罪の声』のような原作がある作品と、完全オリジナル脚本の作品では、執筆の過程は大きく変わってくるんでしょうか?
いえ、結局は同じなんですよね。原作があったとしても、結局は一度、解体して、プロットを作り直さないといけないんですよ、映画やドラマの“枠”にハマるように。作業としてはどちらも一からなので、作業量自体は変わらないですね。
ですが私は原作のある作品の方が疲れますね。オリジナルの方が楽です。「アンナチュラル」や「MIU404」もそうですが、オリジナルの場合、最初からドラマに合った話にすればいいだけなんですよ。もし「これ、ドラマ向きの内容じゃないよね?」となったら「じゃあ別の題材にしましょう」と方向転換してドラマ向きの作品にすればいい。
でもマンガや小説の原作がある場合、それはもともとマンガや小説向けに作られているものですから、それをドラマ向きにしないといけないわけで、そこに手間と無理が生じるわけです。この映画の原作も、何ページにもわたる語りで判明していく物語があったりするんですけど、映像作品でそのままやるわけにはいかない。小説ならいくらでもページを費やして語れるけど、映画の尺では無理だし、マンガならこの表現ができるけど、それを実写でやったら醒めるよね…という場合もある。
更に、作者の方がいらっしゃるわけですから、手をつけていい部分といけない部分もあるわけです。映像にそぐう形で作りつつ、それでも作者の意図や作品の根幹は変えちゃいけないという風に作っていくので、なかなか疲れるし、気をつかうわけです。オリジナルなら好きにすればいいので楽です。
ご参考1)宮藤官九郎がオファーの際に重要視するのは企画、枠、人? 野木亜紀子のテーマの決め方は?:コタキ兄弟と四苦八苦
https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/smp/drama/entry/2020/021165.html
宮藤「打ち合わせで発言しない人は分かってくれてる人だと、どこかで思ってたんだけど、逆の方が多いですよね。発言しない人ほど、言わなきゃ分からない、伝わらない人なんだって、最近は」
野木「分かったような顔で聞いているけど分かってないパターン!」
宮藤「分かってなくて発言する人には分かるように言えばいいから、そっちの方が付き合いやすいですよね。『問題ないです』とか言う人で結果上手くいった場合はそれでいいんですけど、上手くいかなかった場合は『なんだよ~、あの時、黙ってたくせに!』......と、怒りが2乗になる(笑)」
野木「みんなが心の中で"なんか違うな""これどうなんだろう"と思っているまま進むのって一番怖いですよね」
ご参考2)「このドラマは確実に表現の幅を一歩、前進させた」野木亜紀子×宮藤官九郎 対談 延長戦:コタキ兄弟と四苦八苦
https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/smp/drama/entry/2020/021352_amp.html
野木「今の時代、何がどうなってどこを言われるか分からないですもんね」
宮藤「だから野木さんがおっしゃったように、しれっとやっていけたらいいと思うんですよ」
野木「ただ思うのは、今後もっとしれっとやっていければいいなとは思うけれど、今はまだ過渡期だと思うので、ちゃんとするところはちゃんとしなきゃいけない時期だと思っていて。説教臭いのは私もイヤなので、今回は"理解してもらう"......くらいの」
宮藤「あの堅物なお兄ちゃんが、それを受け入れる」
野木「そうですね。お兄ちゃんと同じで分かってない人は多いし、自分には関係ないこととして知ろうともしないんだけど、理解できて普通に受け入れられたらいいよね、っていうところがあったので書きました。せっかくテレビ東京の深夜で、各話ワンテーマで書かせてもらうのであればやっちゃおうかなって。古舘さんが企画段階のときに、ゲイを扱った話があってもいいんじゃないかということをちらっと言ってたんですよ。そのときは、うーんそうは言っても難しいよなと思ってたんですけど、こういう形ならできるかなと」
<感想>
テレビ東京の深夜枠で、野木亜紀子のチャレンジ的「コタキ兄弟と四苦八苦」。
NHKの「半径5メートル」の芳根京子の編集者の成長も目が離せないが、コタキ兄弟との絡みも良かった。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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