2020/4/20、ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物5月限の清算値は1バレル=マイナス37.63ドルとなった。
以下は、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の記事からの一部抜粋。
「原油価格マイナスのなぜ:早わかりQ&A」より。
https://jp.wsj.com/articles/SB11705746827708923692704586340982044819132
原油価格に何が起こったのか
ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物5月限は21日に期日を迎えることになっていた。先物は最終取引日が近づくにつれ、市場参加者は数週間後に現物と交換する契約として扱うようになる。このプロセスは通常であれば秩序がある。WTI原油の受け渡し場所であるオクラホマ州クッシングには、十分な貯蔵余地があるためだ。
20日に市場が崩壊したのは、クッシングの貯蔵施設が5月半ばまでに満タンになる見通しだからだ。5月先物を保有していた投資家やトレーダーは、貯蔵できない可能性のある原油を抱え込むのを避けようと売りを急いだ。だが、買い手がほとんど現れなかったため、価格は急落し、清算値は1バレル=マイナス37.63ドルとなった。
投資家やトレーダーは、原油を受け取りたくないがために、わざわざお金を払って誰かにそれを引き取ってもらったということだ。
「今は貯蔵施設の方が原油よりも価値があるもようだ」。IHSマークイットの副社長で「石油の世紀―支配者たちの興亡」の著者ダニエル・ヤーギン氏はこう話す。「貯蔵施設は物流の道具にすぎなかったが、今や貴重なコモディティーになっている」
その他の要因はあるのか
20日の価格急落はクッシングの物流上の制約が原因だというのが大方のトレーダーの見方だ。21日も下落が続き、WTI先物6月限が約43%安の11.57ドルとなった際には、別の金融面の要因も働いたとトレーダーは話していた。
個人投資家やデートレーダーはこのところ、原油価格が盛り返すと見込んで、WTI先物価格連動型の上場投資信託(ETF)「USオイルファンド(USO)」に数十億ドルを投じている。USOは毎月、満期日に近づいているWTI先物を売却し、翌月の先物を買い付けている。こうした乗り換え処理は「ロールオーバー」と呼ばれている。
USOは5月限がマイナスになる前にロールオーバーした。USOの運用会社は、保有する6月限の価格もマイナスに転じた場合、破産する可能性があるため、保有している先物の多くを遅い限月の先物にシフトしているという。
原油市場で次に起こりそうなことは何か
原油市場の根本的な問題は依然、解決していない。サウジの原油を米メキシコ湾岸に向けて輸送している最中のタンカーは事態を悪化させるだろう。一部のトレーダーやアナリストは、WTI先物6月限が最終取引日の5月19日前にマイナスになる可能性があるとみている。
<感想>
物流の道具にすぎなかった「貯蔵施設」が、今や貴重な「コモディティー」になっているという。
原因と結果を的確に先読みできれば、取引市場を使って利益を出すことができるかもしれない。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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