元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、メディアが大きな意味を持つ小説?

 

平野啓一郎:小説の読み方 】

 


 先日、「小説の読み方 感想が語れる着眼点」(平野啓一郎著、PHP新書)を読んだ。
以下は一部抜粋。

 


プロットの論理性

 

 『恋空』の高校生たちの困難は、ポケベルから携帯メールへと、新しいメディアが出現し、進化していった世界の中で、十分に<書き言葉>化されていない<話し言葉>を付帯情報を欠いたままやりとりしてしまうために、しょっちゅう、お互いの間に、誤解を生じさせてしまっていることだ。そして、その誤解を解消するために、その都度、身体情報の確認に赴かなければならない。

 


 他作との比較ということで言えば、やはり『蹴りたい背中』と並べて読むことが効果的だろう。『蹴りたい背中』もまた、コミュニケーション偏重の高校生小説だったが、ハツとにな川は、メディアを挟まない対面コミュニケーションを基本とし、「蹴りたい」という最後の決定的な<ボディコンタクト>の衝動が主題となっている。

 

 また、『髪』でも、愛する人間の死と距離とが主題化されており、メディアは、基本的に電話だけだという点に比較の面白さがあるだろう。いずれにおいても、メディアが大きな意味を持っているが、何かのテーマに着目するだけで、まったく異なるように見える小説の間に、意外な共通点が見えてくることがある。

 

 その際に、私たちが慎重にならなければならないことは、その因果関係を設定したのは、飽くまで読者の頭の中にある理論的なフレームだということだ。作品が互いに影響関係を持っているかどうかというのは、また別の問題である。

 


<感想>
対面コミュニケーションの『蹴りたい背中』、電話の『髪』、携帯メールの『恋空』。私の手元にあった中学3年生時(45年前)の同じ班員6名+αによる(交換)日記をベースとした小説を書いてみたいと思った。

 

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