元証券マンが「あれっ」と思ったこと

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あれっ、発行会社からCB転換を請求?

セーラー万年筆:CB転換請求権付劣後CB 】


 2020/6/23、セーラー万年筆(7992)が、劣後特約付転換社債型新株予約権付社債(「CB」)をプラス株式会社宛に第三者割当した。
https://www.sailor.co.jp/wp-content/uploads/2020/06/202006PRESS1.pdf

 以下は、その概要。


1.劣後CBの概要
(1)発行金額:20億円

(2)転換価額:133円(6/22終値139円に対して 4.32%ディスカウント)
⇒ 潜在株式数:15,037,593株
+プラス既存保有株式数:2,100,000株
=17,137,593株(保有比率57.78%)


2.セーラー側からのCB転換指定請求

< 前提 >
1)「※プラスにおけるCB転換方針」記載の1〜8の条件が全て充足されていること

2)プラスがCBの全部又は一部を転換しないこと


< 転換指定請求 >
プラスに対して書面により通知することにより、議決権50%超となるCBの全部又は一部を転換するよう、転換指定請求できる

⇒ プラスは、CB転換指定請求に係る通知を受領した場合、当該通知の受領後10営業日以内に、当該通知に従って、CBを転換するものとする


「※プラスにおけるCBの転換方針」
1)当社において、未公表の重要事実がないこと

2)転換指定請求に係る通知日の属する事業年度の前事業年度(「基準事業年度」)の、当社の文具事業及びロボット事業の各セグメントにおける営業利益がいずれも黒字であること

3)基準事業年度に係る当社の決算短信の公表日の翌日〜翌事業年度の末日までのいずれかの期間において、株価終値が転換価額を上回っている日が連続して5営業日以上あること

4)CB転換後における、当社の総議決権に占めるプラスの所有議決権比率が50%を超えること

5)当社によるCB発行契約に基づく当社の義務に重大な違反がないこと

6)当社によるCBに係る債務の不履行が存在しないこと

7)CBの転換可能期間の初日が到来していること

8)プラスのCB転換による当社株式の取得に関して、プラスが独占禁止法第10条第2項に基づく事前届出(「本件株式取得届出」)を行う必要がある場合には、本件株式取得届出につき、法定の待機期間が満了しており、かつ、公正取引委員会により、排除措置命令の発令又は排除措置命令に係る手続の係属等、プラスのCB転換による当社株式の取得を妨げる措置又は手続がとられていないこと


3.株価終値推移

6/22 139円、6/23 142円、6/24・25 192円


<感想>
 本件は、発行会社側から割当先に株式へ転換することを請求できる劣後特約付CBの発行。
 前提条件を満たしていながら、割当先側がなかなかCB転換しない場合に、発行会社からの転換請求⇒資本増強⇒債務の信用補完のメリットはある。
 今後もこのようなCBが増えていくように思われる。

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