【 公開買付制度:ワーキング・グループ議事次第 】
2023/12/19、金融審議会の「公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ」(第6回)議事次第(報告案)が掲載された。
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tob_wg/shiryou/20231219/01.pdf
以下は一部抜粋。(その2)
6.公開買付制度の柔軟化・運用体制 P8
まずは以下の各規制について、個別事案ごとに当局の承認を得ること等によって、規制が免除される制度を設けるべきである。
・別途買付けの禁止に関する規制
・形式的特別関係者に関する規制(一定の資本関係がある場合であっても、一定の場合には形式的特別関係者から除外することを含む)
・公開買付期間に関する規制(一定の場合には、60 営業日を超える任意の延長を認め、又は公開買付届出書の訂正に伴う義務的な延長期間を不要若しくは短縮することを含む)
・買付条件の変更に関する規制
・公開買付けの撤回に関する規制
・全部買付義務・全部勧誘義務に関する規制(一定の場合9には、海外預託証券を全部勧誘義務の対象となる株券等の範囲から除外することを含む)
7.公開買付けの予告 P10
公開買付けを実際に行う合理的な根拠がある場合であっても、長期間にわたって、公開買付けが開始されないような場合には、市場を不安定にするおそれがあるため、市場の安定性を担保する観点から、まずは当局のガイドライン等をもって公開買付けの予告を行う際の開示のあり方(公開買付けを行うための前提条件や開始予定時期の明示、公表後の進捗状況に関する開示等)を整備すべきである。
8.その他の課題 P10
いずれの課題についても以下のとおり適切に対応されるべきとの結論を得た。
1) 公開買付価格の均一性に関する規制に関して、特定の大株主等から、一般株主より低い価格での応募同意を得た場合であっても、1つの公開買付けの中で公開買付価格を区分することができず、2回にわたって公開買付けを実施しなければならないという課題について、1つの公開買付けの中でこれらの取引を実施することができるよう制度を整備すること
2) 公開買付価格の均一性に関する規制に関して、異なる種類の株券等を公開買付けの対象とする場合に公開買付価格の均一性が要求されるのか、また、要求される場合にはどのように均一性を判断するのかが明確でないという課題について、これらを法令上明確化すること
3) 公開買付届出書の事前相談における当局の対応方針が不明確であるという課題について、当局の対応方針を明確化すること
4) 公開買付期間中に対象会社が配当を実施した場合であっても、公開買付価格を引き下げることが許容されていないという課題について、そのような場合には公開買付価格の引下げを可能とすること
5) 公開買付けの撤回事由が厳格すぎるという課題について、公開買付けの撤回事由を拡充すること
6) どのような株式取得が「買付け等」に該当するかについて解釈に委ねられている部分があるところ、その外縁が不明確であり、必ずしも予測可能性が十分に担保されていないという課題について、「買付け等」の範囲を可能な範囲で法令上明確化すること
7) 公開買付説明書の内容が公開買付届出書とほぼ同内容となっており、その効果に比して当該公開買付説明書の交付・訂正に関する事務が負担となっているという課題について、公開買付届出書を参照すべき旨を記載することによって、公開買付説明書の内容を簡素化することを可能とすること
8) 公開買付届出書においてどのような情報を投資者に対して開示すべきか、改めて検証し、必要に応じ記載事項を見直すこと
9.今後の課題
下記「II.大量保有報告制度のあり方について」の「4.大量保有報告制度の実効性の確保」に記載のように、大量保有報告制度を遵守しないまま公開買付けを開始しようとする事例に対して適切な対応を講じていくことが考えられる
<感想>
上記8の7)の「公開買付説明書の交付・訂正に関する事務が負担となっている」という課題について、公開買付届出書を参照して公開買付説明書の内容を簡素化することは、すぐにでも改正すべき内容と思われる。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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