元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、任天堂山内ファミリーからの新たな提案?

 

【 東洋建設:任天堂山内ファミリーからの提案 】

 


 2022/4/22、東洋建設が、「Yamauchi-No.10 Family Office からの書簡の受領に関するお知らせ」を発表した。
https://www.toyo-const.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/04/20220422.pdf

 以下は、一部抜粋。(YFO:Yamauchi-No.10 Family Office)

 


< YFO から当社への 2022 年4月 15 日付書簡 >

 

前田道路の中興の祖とも呼ばれる岡部正嗣氏が 2020 年 1 月 9 日に亡くなった直後の 1 月 20 日に起きた前田道路へ敵対的買収、その後の PMI、ホールディングス化後の体制をみる限り、東洋建設がその体制に参画した場合、東洋建設としての企業価値向上に資するどころか、企業価値を毀損してしまう結末となってしまうのではないかと危惧しております。


元代表取締役社長の今枝良三氏、元取締役管理本部長経営企画部管掌の藤井薫氏をはじめとして、今の前田道路を築き、経営哲学を継承してこられた多くの生え抜きの取締役と執行役を退職に追いやる役員人事。


子会社各社が独自の財務戦略を策定することを廃止し、資金を一元管理することで、“前田建設が”注力する事業に自由に資金を使える体制としたキャッシュマネジメントシステム。東洋建設についても、同じ未来が見えてしまうのは私だけでしょうか。

 

公開買付者たるインフロニアが本年 3 月 2 日に正式な意向表明書を貴社に交付し、3 月 18 日に、公開買付価格を 770 円として公開買付けを実施することにつき貴社との間で合意に至っていますが、正式な意向表明書交付から公開買付価格の合意に至るまでの期間がわずか 13 営業日と短く、十分な検討がなされたのか懸念しております。


関東財務局にはどんなに遅くとも公開買付発表日の 3 週間前には公開買付届出書のドラフトを提出しなければ公開買付の実施はスケジュールとして機能しないのが公開買付の実務である中、貴社への意向表明から 13 営業日で公表まで至っているところから、本公開買付けの実施が前提になっていたのではないかと推察しております。

 

今一度、東洋建設自体の企業価値向上の為のインフロニアによる本完全子会社化が果たして最もよい選択肢であるのか再検討して頂きたく存じます。少し時間をかけてでも、独立自尊の精神をもって経営をすることないしは、他に新たなより相応しいパートナーを探すことを検討することが良いのではないでしょうか。

 


< 当社から YFO への 2022 年4月 18 日付書簡(「質問書」と題する書面)>

 

1.インサイダー取引規制及び情報の目的外利用禁止義務について
 貴社投資会社による当社株式の買付けが、1)金融商品取引法上のインサイダー取引規制に違反していないこと、2)村上氏が当社に対して負っている本件アドバイザリー契約上の義務に違反していないか否かにつき、客観的な資料を基にご説明を頂きたく存じます。

 

2.貴社らによる当社株式の買付けに関する事項
 略

 


< YFO から当社への 2022 年4月 22 日付書簡(「回答書」と題する書面)>

 

1.始めに
 友好的な協議が貴社との間で直ちに開始され、それが継続する限りにおいては、直接又は間接に貴社株式の追加買付けを行わない配慮をいたします。 

 

2.前田建設等から真に独立した立場で、貴社の中長期的な企業価値の向上及び株主共同の利益の観点から本公開買付けに対する判断を行って頂きたいこと

 

3.弊社は、敵対的な買収を意図するものではなく、戦略的な提案について貴社経営陣との建設的な協議・対話を経て実施させて頂くこと

 

4.弊社投資会社による貴社株式の買付けは、本公開買付けの一般株主に対する強圧性及び前田建設等からの貴社経営陣に対する圧力を排斥するためのものであること

 

5.本公開買付けは、強圧性が生じている為、賛同及び応募推奨は撤回して頂きたいこと 

 

6.弊社からの提案(買収提案)を真摯にご検討頂きたいこと

 

7.弊社及び貴社において非公開化後の企業価値向上策及び公開買付けの条件に合意できること(貴社取締役会による賛同及び応募推奨を含みます。)を条件として、貴社に対して、公開買付価格を一株あたり金1,000円、公開買付期間30営業日、買付予定数の下限として貴社の総議決権数の2/3を取得するに至る下限を設定し、買付予定数の上限はなしとして、スクイーズアウト。非公開化を目的として貴社株式に対する公開買付けを実施することをご提案いたします。

 

7.買収防衛策の導入や不当な印象操作などの不適切な対応はとらないで頂きたいこと

 

8.上記6.の買収提案以外の戦略上の選択肢についても貴社経営陣と議論させて頂く準備があること

 

9.最後に
 弊社は、貴社に対して、本書の内容の全体につき公表することを要請させていただきます。

 


ご質問事項に関する回答


1.インフロニアによる公開買付けに際して貴社の直近の未公表の重要事実は公表されているべきであり、インフロニアは2022年3月23日から公開買付けを開始していることから、同日以降、貴社において未公表の重要事実は存在しないと理解しております。

 


<感想>
 本件は、任天堂山内ファミリーによる、東京建設宛てへの買収提案(@1000)。
 東洋建設が、賛同/応募推奨している、現状の前田建設からの買収提案(@770)をそのまま受けるのか。
 個人的には、山内ファミリーの提案に分があると思われ、今後の東洋建設の動向を注視してゆきたい。

 

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