【 公開買付制度:ワーキング・グループ議事次第 】
2023/12/19、金融審議会の「公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ」(第6回)議事次第(報告案)が掲載された。
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tob_wg/shiryou/20231219/01.pdf
以下は一部抜粋。(その1)
1. 欧州型の規制 P2
欧州諸国の公開買付制度においては、公開買付制度を、支配権異動の場面において少数株主が公平な価格で売却する機会を確保するための制度と位置付けた上で、
・取引の類型によって公開買付けの要否を区分するのではなく、一定の閾値を超えた場合には原則として事後的に公開買付けの実施を義務付ける規制
・部分買付けの原則禁止
・最低価格規制
が採用されている。
2.市場内取引の取扱い
(1)3分の1ルールにおける取扱い P3
会社支配権に重大な影響を及ぼすような証券取引の透明性・公正性を確保する観点から、市場内取引(立会内)についても3分の1ルールの適用対象とすべきである。
(2)閾値間の取引の取扱い P4
閾値間の取引については、会社支配権への影響も考慮しつつ、制度の目的に照らして過剰な規制とならないようにすべきである。
(3)「急速な買付け等」の規制 P4
現行の「急速な買付け等」の規制は、(A)3分の1ルールの適用対象とならない取引と、(B)3分の1ルールの適用対象となる取引を区分し、3か月以内に(B)の取引により5%超の株券等を取得するとともに、(A)の取引と合計して 10%超の株券等を取得することで3分の1超の株券等所有割合に至る場面を規制するものである。
現行の「急速な買付け等」の規制においては、市場内取引(立会内)は(A)の取引と位置づけられているところ、今般、市場内取引(立会内)を3分の1ルールの適用対象とすることに伴い、市場内取引(立会内)を(B)の取引として整理することが適切である。
3.強圧性の問題を巡る対応 P6
公開買付者が任意に追加応募期間を設けることを禁止する必要はなく、自ら強圧性の問題を解決するために、追加応募期間を設けることを希望する公開買付者が任意にこれを設けることができるよう制度を整備することが適切と考える。
4.3分の1ルールの閾値 P7
公開買付制度の目的が会社支配権等に影響を及ぼすような証券取引の「透明性・公正性」を確保する点にあることからすれば、上記のような諸外国の水準や議決権行使割合に鑑み、3分の1ルールの閾値を 30%に引き下げることが適当と考えられる。
5.金融商品取引業者等による顧客からの買付け等 P8
1)単元未満株式の買付け等
2)機関投資家等の顧客からの買付け等であって、その後直ちに売却することを予定しているもの
上記1)2)のような取引は、証券会社等が実質的に顧客の売買を仲介するために実施するものと評価することができ、また、基本的には、これを5%ルールの適用対象外としても(勧誘を受ける)株主の利益を害するおそれを生じさせるものではないと考えられる。
このため、5%ルールの趣旨に照らして適切な範囲かつ当該趣旨を潜脱するおそれがない範囲において、上記1)2)のような取引が5%ルールの適用対象とならないことを明確化すべきである。
<感想>
今後、ワーキング・グループでの議事を経て、公開買付制度について、市場内取引(立会内)を含めたり、閾値30%への引き下げ、任意の追加応募期間の設置等が決定されるものと思われる。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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