元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、ToSTNeT-3ではなく、ディスカウントTOBを選択?

 

NEC:ディスカウントTOBへの応募 】

 


 2024/2/29、日本電気(「NEC」)が、「当社子会社による自己株式の公開買付けの結果及び自己株式の取得終了並びに当社個別業績での特別利益の計上に関するお知らせ」をリリースした。
https://jpn.nec.com/press/202402/images/2901-01-01.pdf

 


1.本公開買付け(「TOB」)に対して保有する日本航空電子工業(「JAE」)普通株式のうち23,843,402株を応募
⇒ 全株買い付け ⇒ 2024/3期(個別)関係会社株式売却益 約440億円の特別利益を計上する見込み


2.本TOBの決済の開始日(2024年3月22日)~:JAEは、当社の連結子会社 ⇒ 関連会社となる見込み


3.本TOBについて当社/当社株主にとっての企業価値・株主価値の観点から検証:

(1) 税務上のメリット
(2) 当社が保有するJAE株式の一部を退職給付信託に拠出している影響なども勘案

 

⇒ 経済的観点でも本TOBへの応募は合理的と判断した

 

(JAEの取得総株数:23,851,152株。内、日本電気からの応募:23,843,402株。99.97%)


< 上記3(2):ディスカウントTOBの実施 >
 *株価下落は、予め想定され得た
 ⇒ 経済的観点からは、本来 「合理的」と判断できなかったのではないか?

 

*株価下落:1月29日終値@3,040 ⇒ 3月1日終値@2,723

 

< 信託拠出(13,800千株)の時価総額 >
@3,040:41,952百万円 ⇒ @2,723:37,577百万円
▲4,375百万円

 


<税務上のメリット:益金不算入>
ToSTNeT-3(@3,040)ではなく、ディスカウントTOB(@2,605。6ヶ月平均の12.5%、終値3,040円の14.3%ディスカウント)を選択

 

・理由:株式保有割合(1/3超100%未満)の「益金不算入」による「税効果」メリットがあるため
https://www.koyano-cpa.gr.jp/archives/knowledge/13104#:~:text

 


ご参考)2024/1/29 NEC「当社子会社による自己株式の取得及び自己株式TOBに関するお知らせ」(出所:https://jpn.nec.com/press/202401/images/2901-01-01.pdf

 

TOB応募契約を締結:23,843,402株を@2,605で応募(過去6ヶ月間終値単純平均値@2,977/1月29日終値@3,040の12.5%/14.3%ディスカウント)

 


<感想>
NECが合理的と判断した「税務メリット」はあるが、退職給付信託に拠出したJAE株式については株価下落が想定され得たため、「経済的観点」では少なくとも短期的には「合理的」とまでは言い難かったように思われる。

 

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