元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、日本だけが平和ボケ?

【 日本だけが平和ボケ 】


 2019/12/16、現代ビジネスに、高橋洋一氏の『北朝鮮暴発・米中対立・ブレグジット…日本だけが「平和ボケ」している』の記事が掲載された。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/69230

 以下は、その概要。


1.結論
ブレグジット、米中貿易戦争、北朝鮮のどれをとっても、日本への影響は深刻
⇒ 「桜を見る会」で平和ボケしている場合ではない


2.イギリス「保守党圧勝」⇒ EU離脱の影響

< イギリスの国立経済社会研究所(NIESR) >
・イギリスがEU離脱した場合、離脱しない場合に比べて年間700億ポンド(約9兆8000億円)の経済損失が見込まれるとする報告書を発表
(この報告書では、今後のEUその他との自由貿易協定はあまり考慮されていないが、それでも、欧州経済にとっていい話ではない)


3.米中貿易戦争のこれから

< 12月13日の米中貿易交渉の第一段階合意 >
・両国が15日に予定していた追加関税は見送られ、繰り返される制裁と報復の応酬がとりあえず一時休止になったのは、いいこと

1)アメリカは対中制裁関税第4弾のうち9月発動分(1200億ドル分)の関税率を15%から7.5%に半減する
2)第4弾の残り(1600億ドル分)の発動は見合わせる
3)第1~3弾(2500億ドル分)の25%は継続する


< 問題は第二段階 >
・中国の国有企業や産業への補助金見直しがある。それらは、中国がTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に参加できなかった理由でもある


・TPPには貿易自由化だけでなく投資の自由化も含まれている
⇒ 中国は社会主義国なので、生産手段の私有化を前提とする投資の自由化は基本的に受け入れられない。また、TPPでは国有企業が大きな障害になる。国有企業が大半を占める中国は、その民営化などを迫られるだろうが、国有企業改革は中国の国家体制を揺るがす事態につながりかねない

・中国への強硬姿勢は、アメリカ議会に対して共和党が自信をもって進めることができる政策
⇒ 少なくとも来年11月のアメリカ大統領選まで、トランプ大統領にとっては中国への強硬姿勢を続けたほうが政治的に得策となる

・最近は、米中貿易戦争が経済・安全保障問題を超えて「人権問題」にもなりつつある
香港人権法案が議会で圧倒的多数で成立。ウイグル人に対しても似たような人権法案が議会で成立するだろう

・米中貿易戦争は容易に終結しないという前提で考えるべき
⇒ 第1~3弾の関税25%も、いつなくなるのかわからない。第1~3弾の対象となっている中国製品は、アメリカによって輸入代替品、つまり価格が高くなれば中国以外の国から輸入可能な製品

中国企業は、アメリカ国内シェアを失いたくないばかりにアメリカ向け輸出価格を引き下げているところが多い。これが中国経済へ大きな打撃を与えている


< 習主席を国賓として訪日させること >
自民党内の保守系議員から反対意見あり
NATO宣言の中でも「中国からの挑戦」に言及
⇒ 下手をするとアメリカの虎の尾を踏みかねない。対中国の対応ミスで、日本企業がアメリカ市場から締め出しを食らえば、日本経済にも大打撃になる


4.北朝鮮は再び危険な状況へ
トランプ大統領と金委員長両者による個人的な関係があるので、核実験や大陸間弾道ミサイルICBM)発射はこの2年間抑えられてきた。この年末にどちらかが行われれば、両者会談前の険悪な米朝関係に戻ってしまう
⇒ 頼みの綱であった個人的な関係が崩れることになるので、2年前よりもさらに悪い状況になりかねない。その場合、ここ30年間で朝鮮半島はもっとも危険な状況に突入する

・ここ30年間の「もっとも危険な状況」とは、1994年の北朝鮮危機
⇒ 当時のクリントン政権下のアメリカは、北朝鮮の核施設を攻撃する一歩手前だった。韓国の金泳三大統領がクリントン大統領に懇願し、なんとか北朝鮮への攻撃は回避された

・その上、米韓関係も冷え込んでいる。韓国は北朝鮮からも相手にされていないようだし、今の状況ではあてにできない。日本としても、万が一の場合に備えて数々の準備をしなければいけない


<感想>
 野党の、国際情勢を鑑みた、与党のと前向きな議論を期待している。

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