【 村上春樹:みみずくは黄昏に飛びたつ 】
以下は、「川上未映子 訊く/村上春樹 語る みみずくは黄昏に飛びたつ」より。
川上 9月に『騎士団長殺し』の英訳が出版されて、10月の「ニューヨーカー・フェスティバル」(ニューヨーク市)で公開インタビューを受けて、11月には早稲田大学に「村上春樹ライブラリー」の創設が発表されました。記者会見もされて、新聞に写真も出ていました。濃厚すぎませんか、出来事が。
村上 いや、僕は今年70歳になったわけで、これまでやってきたことと少し変えてみようと思ったんだ。たとえば、これまでは文章を書く以下のことはできるだけしないようにと心に決めて仕事をしてきたけど、もうそろそろ、少しはほかのこともやっていいんじゃないかと・・・・・・。
川上 たしかに2019年は、春樹さんが『風の歌を聴け』でデビューして40周年ですものね。
村上 40年やってきたんだから、文章を書くだけに限定せず、少し広げてもいいかなというふうに思って、それで70歳を前にラジオを始めたわけ。
川上 「村上RADIO」はほぼ2ヶ月に一度のペースで、このあいだ、8回目(2019年9月)が放送されたばかりですよね。
村上 それから早稲田大学の「村上ライブラリー」(※「早稲田大学国際文学館」)も、やはり年齢的な節目というかね。僕は子どもがいないから、例えば僕が死んじゃうと、いろんなものが全部散逸しちゃうかもしれない。だから作品の原稿とか関係資料とかを、この際きちんとまとめておこうという気持ちがあって。
(略)
村上 とにかく僕は文章を書くのが単純に好きなんだ。だからあまりほかのことをやりたくなかった。でも、そろそろそういう縛りを解除して何かほかの空気を入れてもいいかなと思ってね。
(略)
村上 「村上RADIO」にしても「村上ライブラリー」にしても、これまでやらなかったことをやっていこうという気持ちになってると思う。例えば、父親のことを書いたこと(※「猫を捨てるーー父親について語るときに僕の語ること」文藝春秋2019年6月号)もそうかもしれない。
東京FM 村上RADIO
https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/
<感想>
村上春樹の、文章を書くだけに限定せず、「村上RADIO」や「村上ライブラリー」などの新しい空気を入れた契機が、70歳になったこと。
70歳まで一つのことに限定し続けられる
、そんな人生を素晴らしいことだと思う。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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