【 村上春樹:「ドライブ・マイ・カー」の地名の変更 】
「ドライブ・マイ・カー」の映画化を聞いて、7年ぶりに「女のいない男たち」を読んだ。
以下は、一部抜粋。
まえがき
『ドライブ・マイ・カー』は実際の地名について、地元の方から苦情が寄せられ、それを受けて別の名前に差し替えた。
(中略)
小説の本質とはそれほど関係のない箇所なので、テクニカルな処理によって問題がまずは円満に解消してよかったと思っている。ご了承いただきたい。
ドライブ・マイ・カー
小さく短く息をつき、火のついた煙草をそのまま窓の外に弾いて捨てた。たぶん上十二滝町ではみんなが普通にやっていることなのだろう。
ご参考1)『村上春樹の新作短編集「タバコポイ捨て」表現で抗議受けた箇所はどうなった?』のWeb上の記事より
https://www.huffingtonpost.jp/2014/04/17/murakami-drive-my-car_n_5171039.html
村上さんは「単行本にする時には別の名前に」とのコメントを発表した。
僕は北海道という土地が好きで、これまでに何度も訪れています。小説の舞台としても何度か使わせていただきましたし、サロマ湖ウルトラ・マラソンも走りました。ですから僕としてはあくまで親近感をもって今回の小説を書いたつもりなのですが、その結果として、そこに住んでおられる人々を不快な気持ちにさせたとしたら、それは僕にとってまことに心苦しいことであり、残念なことです。中頓別町という名前の響きが昔から好きで、今回小説の中で使わせていただいたのですが、これ以上の御迷惑をかけないよう、単行本にするときには別の名前に変えたいと思っています。
(スポニチ「村上春樹氏 作中の「中頓別」変更へ “たばこポイ捨て”抗議受け」より 2014/02/08 05:30)
(原文)
小さく短く息をつき、火のついた煙草をそのまま窓の外に弾いて捨てた。たぶん中頓別町ではみんなが普通にやっていることなのだろう。
ご参考2)北海道・中頓別町の町会議員、宮崎泰宗氏のブログ「TEAM中頓別~今そして未来の青空へ~」より
http://miyazaki0616.blog.fc2.com/blog-entry-23.html
2月6日、7日の日程で臨時会が開かれます。それに合わせ有言実行、村上春樹氏の『ドライブ・マイ・カー』に対する決議案を昨日の議会運営委員会に提出し議案とするよう求めました。
ところが、委員会での協議結果は、議会としての決議には馴染まないとの理由でNG。議会という合議体の意思を形成する決議に定型はなく、なにが馴染まないのかよくわかりません。
ノーベル文学賞候補となる作家が事実と異なることを小説にしたことが町のイメージダウンにつながり、このまま放置すれば、本町への偏見と誤解が広がる訳ですから、作家に遺憾の意を伝え、なんらかの対処を求めることの緊急性は高いと思います。
(中略)
小さく短く息をつき、火のついた煙草をそのまま窓の外に弾いて捨てた。たぶん中頓別町ではみんなが普通にやっていることなのだろう。
とありますが、特にこの部分。なぜ彼女の行いが、イコール中頓別町民と強調する必要があったのか?心ない表現であり、卑屈さも感じます。一刻も早く、臨時会で審議し、可決できることを望んでいます。郷土への愛と誇りが試されていると思います。
<感想>
小説の中の表現(火のついた煙草をそのまま窓の外に弾いて捨てた行為をたぶん中頓別町ではみんなが普通にやっていることとしたこと)が「町への偏見と誤解が広がる」のか。
町議会議員の主張も理解できるが、村上春樹の小説に出た町を観光してみたい人が減る方が町にとっての損失が大きいように思われる。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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