元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、会計上は減損処理、税務上は損金不可?

日本郵政:ゆうちょ株を巨額減損 】


 2020/3/9、日経電子版に「郵政、ゆうちょ株安で巨額減損も 簿価の半額以下に」の記事が掲載されていた。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56569500Z00C20A3EE9000/?s=4

 以下は関連情報より。


1.記事の一部抜粋

会計基準では日本公認会計士協会が「時価が取得原価から50%程度以上下落した場合は、合理的な反証がない限り、減損処理しなければならない」とルールを定めている


2.会計ルール
https://jicpa.or.jp/specialized_field/pdf/00224-000428.pdf

金融商品会計に関する実務指針

有価証券の減損処理
市場価格又は合理的に算定された価額のある有価証券の減損処理
91. 売買目的有価証券以外の有価証券(子会社株式及び関連会社株式を含む)のうち市場価格又は合理的に算定された価額(すなわち時価)のあるものについて時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、当該時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額を当期の損失として処理(「減損処理」)しなければならない(金融商品会計基準(第三.二.6))。
なお、その他有価証券については、減損処理の基礎となった時価により帳簿価額を付け替えて取得原価を修正し、以後、当該修正後の取得原価と毎期末の時価とを比較して評価差額を算定することになる。
時価のある有価証券の時価が「著しく下落した」ときとは、必ずしも数値化できるものではないが、個々の銘柄の有価証券の時価が取得原価に比べて50%程度以上下落した場合には「著しく下落した」ときに該当する。この場合には、合理的な反証がない限り、時価が取得原価まで回復する見込みがあるとは認められないため、減損処理を行わなければならない。


3.国税ルール
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5574.htm

No.5574 有価証券の評価損が認められる場合

 法人が所有する有価証券について、次のような場合には、原則として、帳簿価額と時価との差額など一定の金額を限度として評価損の計上が認められます。

1 法人の所有する有価証券について次の事実が生じた場合で、その法人がその有価証券の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したとき
1. (1) 取引所売買有価証券、店頭売買有価証券、取扱有価証券及びその他価格公表有価証券(いずれも企業支配株式に該当するものを除きます。)について、その価額が著しく低下したことにより、その価額が帳簿価額を下回ることとなったこと。


<感想>
 日本郵政のゆうちょ株価下落については、上記を見る限り、会計上は減損処理となるが、税務上は損金処理できないものと思われる。

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