元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、SBIホールディングスが新生銀行をTOB?

 

SBIホールディングス新生銀行TOB

 


 2021/9/9、SBIホールディングス(HD)が、「株式会社新生銀行株式(証券コード:8303)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」を発表した。
https://www.sbigroup.co.jp/news/2021/0909_12635.html

 以下は、一部抜粋。(その1)

 


 SBIHDらは、それぞれ金融庁長官に対して、本公開買付けによる株式取得に関して、2021年8月13日付で、銀行法に基づき必要となる認可の申請を行い、それぞれ2021年9月9日付で各認可を取得しております。

 

 対象者においては2016年3月期以降ほとんどの事業年度において対象者公表の計画値が未達であり、実質業務純益及び親会社株主に帰属する当期純利益においては減少傾向が続いているものの、対象者の経営陣はかかる状況に対し抜本的な対応策を講じていないと考えております。
 また、SBIHDらは、対象者の意思決定の適切性や機動性が欠如している一因は、取締役会メンバーの中には、特定の外資系証券会社等、社外取締役の出身母体に偏りがあるように見受けられる面もあるなどの対象者の役員体制にあるものと考えておりますが、自発的に役員体制を見直し、ガバナンス機能の回復に努めることを対象者に期待することは難しい状況にあると考えております。

 

 こうした状況を踏まえ、SBIHDらは、1)対象者の主要株主としての立場から、対象者の業績を改善し、企業価値を回復・向上すべく、適切な施策を早期に実施することが急務であると判断するに至り、
 2)かかる施策の早期実施のためには、(i)対象者株式の所有割合を高めて対象者をSBIHDの連結子会社とし、現状の所有割合では実現できていない対象者との真摯な議論を通じて対象者グループとの事業上の提携関係を構築・強化する必要があるとともに、
 (ii)対象者の役員の全部又は一部を変更し、最適な役員体制を実現することを可能とする議決権を確保する必要があると判断し、また、(iii)本公開買付けによって、公開買付者が、上記(i)及び(ii)の目的を達成するために必要な対象者株式を取得できない場合でも、将来的な上記(i)及び(ii)の目的達成に向けて、公開買付けにより対象者株式の所有割合を機動的に高めておくことが望ましいと判断した上で、SBIHDらは、本公開買付けを実施することを決定いたしました。
 なお、SBIHDらは、両グループの事業上の連携がシナジー効果を生み両グループの企業価値向上に繋がると考えております。

 

 SBIHDらは、かかる本公開買付けの目的を踏まえて、本公開買付けにおける買付予定数の上限を、58,211,300株(所有割合にして27.68%、SBIHDらの現所有分を加味した所有割合にして48.00%)に設定しております。

 

 なお、対象者の総議決権数に変動が生じたことによって、本公開買付けによる買付け等の後においてSBIHDらが所有する対象者株式に係る議決権割合が50.00%を超えるおそれが生じた場合には、銀行持株会社認可を含む各種法令上の許可等を取得することが必要となりうることから、当該議決権割合が50.00%を超えるおそれを払拭するために必要な限度で、対象者株式を速やかに処分することを検討する可能性があります。

 

 また、本日現在、SBIHDらは、対象者との間で本公開買付けに関する事前の協議を行っておらず、対象者が本公開買付けに賛同するか否かは確認できておりません。
 本日現在までに、SBIHDらが対象者との間で本公開買付けに関する事前の協議を行わなかったのは、SBIHDは、対象者に対して継続的に資本業務提携に関する提案を
 行ってきましたが、地方創生に関する提携については一定の進展が見られたものの、証券業務を含む両グループのシナジーの発揮が期待できる分野に関する提携に
 ついては対象者から前向きな回答を得られておらず、また、これまでの対象者の対応に鑑みて進展が得られるとは見込めない状況であったことから、
 SBIHDらが対象者との間で本公開買付けに関する事前の協議を改めて申し入れても、前向きな協議が実現するとは見込まれなかったことや、
 2)事前の協議を行った場合、未確定の情報の漏洩により市場株価が乱高下する状況を招く可能性があることを踏まえたものです。
 かかる観点から、SBIHDらとしては、本公開買付けに対する賛同を得るために対象者との間で協議を行っていくよりも、
 本公開買付けを直ちに実施することの方が、対象者グループ及びSBIHDグループ双方の企業価値向上との関係で望ましいと判断し、本公開買付けの開始を決定しております。
 上記1)のとおり、これまでの対象者の対応を踏まえると、事業上の提携関係を構築・強化することに向けた前向きな協議を行うためには、
 本公開買付けを通じて対象者株式の所有割合を高めることが不可欠であるとSBIHDらにおいて判断していることから、
 対象者との協議については本公開買付け成立後に行うことを予定しております。

 

 なお、本公開買付けは対象者の上場廃止を企図するものではなく、本公開買付け成立後においても対象者の上場は維持される予定です。

 


 現在SBIHDは多くの企業とのアライアンスを進めており、スマートフォン向け金融サービス等のデジタル分野の他、様々な事業分野の拡充を進めております。
 また、社会的使命の一つとして地方創生に寄与すべく地域金融機関との関係強化の他、地方創生を推進する統括会社(地方創生パートナーズ株式会社)を数社のパートナー企業と共に設立し、地域金融機関との共通システムの提供や地方経済の活性化を推進する機能提供、ベンチャー企業等の投融資等を行う会社の設立、様々な業界からの新たな出資パートナーの受入れを行っています。さらに、フィンテックの進展等による異業種参入が加速し、銀行機能のアンバンドリング化が進む中、同機能をパートナー企業に提供するネオバンク構想を強力に推進しています。

 


本公開買付け成立後の経営方針
 具体的には、SBIHDらからも独立した独立社外取締役を対象者の取締役総数の3分の1以上にすると共に、本日現在においては、本公開買付けの守秘性の観点から、
 本公開買付けの公表・開始前に対象者の役員候補者となりうる人物との十分な接触ができていない中で、SBIHDグループの金融サービス事業の中核を担うSBI証券
 住信SBIネット銀行株式会社などで重要な役職を歴任し、経営全般に関する幅広い見識と豊富な経験を有する川島克哉氏を代表取締役社長候補、金融行政に深く
 携わってきた経験を有する元金融庁長官の五味廣文氏を取締役会長候補、旧株式会社東京銀行(現株式会社三菱UFJ銀行)で要職を経験し、現在SBIHDの子会社で
 ロシアの商業銀行である SBI Bank の取締役会会長を務める畑尾勝巳氏を取締役候補として推薦することを考えており、これらの者からは内諾を得ております。
 なお、本日現在、対象者の第21期定時株主総会に上程された取締役の選任議案においてSBIHDが再任に対して反対の議決権を行使した取締役である工藤英之氏、
 アーネスト M. 比嘉氏、槇原純氏及び村山利栄氏について、再任について反対というSBIHDの方針に変更はありません。

 


大株主及び持株比率(2021年3月31日時点)
 SBIHD  19.85%(42,737千株)
 預金保険機構 12.50%(26,912千株)
 整理回収機構 9.28%(20,000千株)

 


<感想>
 本件は、SBIHDによる新生銀行へのTOB新生銀行の取締役会の動向次第では、敵対的TOBとなる。
 今後の展開に注目したい。

 

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