元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、また財務省の増税対策?

 

【 外形標準課税:資本金→「資本金+資本剰余金」基準へ 】

 


 2023/11/14、地方法人課税に関する検討会で、以下概要が示されていた。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000911726.pdf

 


<減資に対応するための追加的な基準>
・必要以上に多くの法人に制度見直しの影響を及ぼさないとの考え方のもと、項目振替型減資への対応としての妥当性、法人の事業規模を測る指標としての適正性、納税者(法人)及び課税庁(都道府県)の事務負担等を考慮すると、追加的な基準の指標は「資本金と資本剰余金の合計額」とすることが適当。

 

・具体的には、資本金が1億円以下の法人であっても、資本金と資本剰余金の合計額が一定水準を上回る法人を外形標準課税の対象として追加することが適当。

 


 財務省増税策としては、酒税への対応が思い返される。以下は、財務省の「酒税に関する資料」からの一部抜粋。
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/d08.htm

 

 類似する酒類間の税率格差が商品開発や販売数量に影響を与えている状況を改め、酒類間の税負担の公平性を回復する等の観点から、税収中立の下、酒税改正を実施します。

 

・ビール系飲料の税率について、2026年(令和8年)10月に、1kl当たり155,000円(350ml換算54.25円)に一本化します(2020年(令和2年)10月から3段階で実施)。

 

醸造酒類清酒、果実酒等)の税率について、2023年(令和5年)10月に、1kl当たり100,000円に一本化します(2020年(令和2年)10月から2段階で実施)。

 

・その他の発泡性酒類(チューハイ等)の税率について、 2026年(令和8年)10月に、1kl当たり100,000円(350ml換算35円)に引き上げます。これにあわせて、低アルコール分の蒸留酒類及びリキュールに係る特例税率についても、2026年(令和8年) 10月に引き上げます。

 


ご参考) 「第三のビール」をめぐる課税訴訟~東京地裁平成31年2月6日判決~
https://www.westlawjapan.com/column-law/2019/190826/

 

ビール会社の本来の製品開発は、より良いもの、消費者により好まれるものを目指すべきところ、酒税法に税率差があるゆえに、これを利用したより安い製品の開発に企業の多くの資源が投入される状況になっている。この種の製品開発は、「課税逃れ」という国の疑念と「企業努力の阻害」という企業の不満の対立構造を生む。この対立関係が訴訟に持ち込まれるに至っては、国と企業双方に追加的コストを負わせることになる。このように企業の経済活動に歪みを生じさせる税制は、消費課税における経済活動の中立性原則に反するものである。

 


<感想>
例えば、酒税の変更については、上記指摘の通り、税務メリットを活かした商品開発に勤しんでいた企業努力 vs 財務省の対立構造を生む。訴訟は、意味のない両者の追加的負担(含むコスト)を強いることになるため、訴訟を避ける枠組みの構築を検討して欲しい。

 

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