元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、不適正な会計処理による業務停止?

 

【 太陽監査法人:懲戒処分&課徴金納付命令 】

 


 2023/12/26、金融庁から太陽有限責任監査法人宛てへの懲戒処分と課徴金納付命令が公表された。

 以下は、一部抜粋。

 


1.監査法人及び公認会計士の懲戒処分等について
https://www.fsa.go.jp/news/r5/sonota/20231226-3/20231226.html

 

(1) 監査法人宛て処分の内容
 ・契約の新規の締結に関する業務の停止 3月
 ・業務改善命令
 ・処分理由に該当することとなったことに重大な責任を有する社員が監査法人の業務の一部(監査業務に係る審査)に関与することの禁止 3月
 (令和6年1月1日から同年3月31日まで)

 

(2) 公認会計士2名宛て懲戒処分の内容
 ・業務停止6月(令和6年1月1日から同年6月30日まで)

 


2.課徴金納付命令に係る審判手続開始の決定
https://www.fsa.go.jp/news/r5/sonota/20231226-2/20231226.html

 

(1) 事実の概要
 当社は、平成29年12月期から令和3年12月期まで、それぞれの期に係る有価証券報告書及び四半期報告書(「当初報告書」)に記載された連結財務諸表等において、売上の過大計上及び貸倒引当金繰入額の過少計上等の不適正な会計処理を行った。

 

 また、当該不適正な会計処理を訂正するにあたり、貸借対照表の当事業年度の繰越利益剰余金から前事業年度の繰越利益剰余金を差し引いた金額と損益計算書当期純損失等が本来整合すべきにもかかわらず整合していなかったなど、多くの虚偽記載のある連結財務諸表等を作成し、令和4年8月12日、同様の虚偽記載がある連結財務諸表を含む令和4年3月第一四半期報告書とともに東海財務局に提出した。

 

 当監査法人は、当初報告書に係る訂正報告書に記載された財務書類の監査及び令和4年3月第一四半期の財務書類の監査(「訂正監査等」)を実施するに当たり、当社に対して主要な論点を提示し訂正の指導を行い、当該指導内容が連結財務諸表等に適切に反映されることで、適切な連結財務諸表等が作成されるはずと思い込み、その後に当社が作成した連結財務諸表等について、その表示方法が適切であるかどうかについての確認を行わず、また、監査補助者に対して表示方法が適切か確認を行うよう指示を行いその結果の査閲を行うような手続きも実施しないまま、重大な虚偽のある財務書類について、重大な虚偽のないものとして証明した。

 

(2) 対象事実(まとめ)
1)売上の過大計上及び貸倒引当金繰入額の過少計上等の不適正な会計処理を行ったこと
2)多くの虚偽記載のある連結財務諸表等を作成したこと
3)連結財務諸表等が適切かどうかの確認・査閲を行わず、重大な虚偽のないものとして証明したこと

 


3.その他
(1) 東証:2023/07/03 「上場廃止等の決定:(株)ディー・ディー・エス
https://www.jpx.co.jp/news/1023/20230703-12.html

結論)以上を総合的に勘案すると、改善計画の相当部分に重大な不備が存在し内部管理体制等の改善状況に重大な問題があると認められることに加え、特設注意市場銘柄の指定を継続したとしても、その改善期間において、内部管理体制等の改善が達成される実効的かつ合理的な計画が存在しないと認められることから、同社の内部管理体制等について、現に改善の見込みがなくなったと認め、同社株式の上場廃止を決定し、整理銘柄に指定することにしました。

 

(2) ディー・ディー・エス監査法人の変更
2023年12期:太陽監査法人 ⇒ 應和監査法人

 


<感想>
本件は、虚偽記載を含めた、不適正な会計処理等を実施したことにより、担当監査法人公認会計士が処分を受けたもの。
不適正な会計処理が行われないために、内部管理体制を整えておく必要がある。

 

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