元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、コーポレート・ガバナンスと内部統制の機能不全が原因?

 

【 開示規制違反の傾向 】

 


 2023/11/2、証券取引等監視委員会から、「市場へのメッセージ」に「令和4事務年度 開示検査事例集」が公表された。
https://www.fsa.go.jp/sesc/jirei/kaiji/20230831-1/PDF.pdf

 以下は、一部抜粋。

 


P15 II 最近の開示検査の実績とその内容
最近の開示規制違反の傾向としては、売上の過大計上や売上の前倒し計上といった売上に関する不適正な会計処理による開示書類の虚偽記載が多く見られています。また、最近では、上場会社において開示規制違反を契機として、上場廃止に繋がったケースも見られており、開示規制違反が会社の存続にかかわるような重大な結果を招いています。

 


P16 2 開示規制違反の背景・原因
これらの課徴金納付命令勧告を行った事案において認められた開示規制違反に至った背景・原因としては、例えば、

 


・ 社長より掲げられた当社グループとしての大きな目標達成のための売上や利益を上げなくてはならないというプレッシャーがあったこと

 

・ 不適切な取引を容認する企業風土があったこと

 

・ 会長の業績目標達成の経営姿勢及び部下による忖度があったこと

 

・ コーポレート・ガバナンス及び内部統制の機能不全があったこと
等が挙げられます。

 


P18 内部統制やガバナンス体制は大丈夫ですか?
近時の開示検査の結果、開示書類の投資者の投資判断に影響を与えるような重要な虚偽記載等が認められた事例では、経営陣のコンプライアンス意識の欠如や内部統制・内部管理体制の機能不全など、以下のような背景・原因が認められています。

 


・ 経営トップ主導のコンプライアンスを無視した業績至上主義の企業風土がまん延していたこと

 

・ 短期的な業績向上に注力するために個人の成果主義に依拠した経営体制であったこと等を背景として、十分な内部管理体制を構築できなかったこと

 

・ 経営陣が、リスク管理体制の脆弱性を認識しながら、その是正のための取組みを行ってこなかったこと

 

・ 担当者が行った業務を組織的にチェックする体制が欠如していたこと

 

経理部門に会計処理の詳しい知見を有する者がいない中、経営幹部の会計基準等への理解不足により不適正な会計処理に至ったこと

 

監査役及び内部監査室において不正リスクへの意識が希薄であったこと

 

・ 内部監査担当者が他部門と兼任していたり、内部監査規程が明確に規定されていないなど、内部統制、内部監査が機能不全であったこと

 

・ 取締役会等に出席しているものの、適切な指摘や質問を行っていないなど、監査役や社外監査役が機能不全だったこと

 

・ 会計監査人に会計処理の基礎となる十分な情報伝達がされていなかったこと

 


これらのことから、開示規制違反の再発防止・未然防止には、上場会社における適正な情報開示を行うための体制整備が必要であると考えられます。

 


<感想>
上記「開示規制違反」事例は、コーポレート・ガバナンス及び内部統制の機能不全に起因していることが分かる。適正な体制整備が求められる。

 

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