元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、監査役の任務懈怠責任?

 

監査役の責任 】

 


 月刊監査役 No.757(2023/12)に、以下内容が掲載されていた。

 


監査役等の責任に関する主な裁判例
(1)事件名、(2)結論、(3)事案・判示事項

 

1.会社に対する任務懈怠責任(会社法上の責任)に関する裁判例

 

(1)No.1 セイクレスト事件
(2)任務懈怠責任を肯定
(3)社外監査役に、取締役会に対して1)内部統制システムを構築するよう助言・勧告すべき義務、2)代表取締役を解職するよう助言・勧告すべき義務を認め、その違反を認定した。

 

(1)No.2 ダスキン事件
(2)任務懈怠責任を肯定
(3)不祥事の隠蔽を方策として執るという取締役の明らかな任務懈怠行為に対する監査を怠ったとして、監査役善管注意義務違反を認定した。

 

(1)No.3 NFKホールディングス事件
(2)任務懈怠責任を否定
(3)監査役が、その判断に当たって専門家の知見を信頼した場合には、当該専門家の能力を超えると疑われるような事情があった場合を除き、善管注意義務に反しないとした

 


2.第三者に対する責任(金商法上の責任)に関する裁判例

 

(1)No.4 エフオーアイ事件
(2)対第三者責任を肯定
(3)監査役の「相当な注意」の判断の際に、1)監査役の会社の不正行為に対する認識や、2)監査役の取締役会や戦略会議への具体的な出席状況などを考慮した上で、相当な注意を用いたとは認めがたいとして、第三者に対する責任を認めた。

 

(1)No.5 アーバンコーポ レイション事件
(2)対第三者責任を肯定
(3)臨時報告書の虚偽記載に関する監査役の「相当な注意」の判断の際に、問題となった取締役会への出席や準備の有無を考慮した上で、出席した監査役については審議を通じて監視を行うべき立場にあったとして注意義務違反を認めた。

 

(1)No.6 ニイウスコー事件
(2)対第三者責任を否定
(3)監査役の「相当な注意」を用いたかの判断の際に、職務分担及び内部統制システムが適正である限り、それらに従って業務を行えば相当な注意を用いたといえる旨判断した。


<感想>
監査役の2大責任は、1)会社法上の任務懈怠責任(取締役会宛て「プロアクティブな行動」が必要)、2)金商法上の第三者に対する責任(「相当な注意」が必要)であるものと思われる。

 

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