元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、内部通報に基づいた特別調査委員会を設置?

 

タムロン:調査報告書 】

 


 以下は、2023/11/2のタムロン(7740)プレスリリースからの一部抜粋。

 


「特別調査委員会の調査報告書公表に関するお知らせ」
https://www.tamron.com/jp/ir/upload_file/tdnrelease/7740_20231102578675_P01_.pdf

 


1. 特別調査委員会を設置した経緯、目的
2023年7月9日、タムロンが運営する内部通報制度における外部窓口宛に、タムロンの前代表取締役社長である鯵坂司郎氏(以下「鯵坂氏」という。)が、出張に「S氏」という通称を有する第三者女性(以下「S氏」という。)を同伴させ、タムロンの経費を私的に流用した旨の内部通報(以下「本件内部通報」という。)があったことを契機として、タムロン監査役及び社外取締役において当該事実に関する調査(以下「本件先行調査」という。)を行った結果、

 

鯵坂氏が少なくとも過去5年間、月に複数回にわたり S氏が関与する特定の飲食店(その詳細は、第五部において述べる。以下「S氏関連店」という。)において飲食し、当該費用をタムロンに負担させていた事実(S氏を同伴した出張において鯵坂氏が私的に又は S氏のために費消した費用をタムロンに負担させていた事実を含め、以下「本件事案」といい、そのうち、出張同伴に関するものを「本件事案1)」といい、S氏関連店飲食費その他私的な経費流用に関するものを「本件事案2)と区別することがある。)が発覚した。

 

また、本件事案に関する支出管理を行っていた元常務取締役である大塚博司氏(以下「大塚氏」といい、鯵坂氏及び大塚氏を総称して「本件対象者」という。)の(不作為を含む。)関与が疑われた。

 

タムロンはこのような事態が生じたことを極めて深刻に受け止め、2023年8月22日開催の取締役会において、タムロンから独立した中立かつ公正な外部専門家及びタムロン独立社外取締役で構成される特別調査委員会(以下「当委員会」という。)を設置し、本件事案に関する徹底した事実調査を実施することとして、当委員会に対して次の各事項(以下「当委員会受嘱事項」という。)を委嘱することを決議した。

 

 1)本件事案の事実関係の調査
 2)本件事案に類似する事象(以下「類似事案」という。)の有無の調査
 3)本件事案の原因究明及び再発防止策の提言

 

なお、鯵坂氏については、2023年8月22日付「代表取締役及び取締役の異動(辞任)に関するお知らせ」に記載のとおり、同氏から同日付で取締役及び代表取締役を辞任する申し出があったため、タムロンはこれを受理し、取締役副社長であった桜庭省吾氏を代表取締役社長に選定する旨の決議を行った。

 

また、大塚氏については、同日付「役付取締役の異動及び役員の担当変更のお知らせ」に記載のとおり、同日開催の取締役会において、常務取締役の地位を解職し取締役とするとともに、経営戦略本部、管理本部、CSR及び情報マネジメントの担当を解く決議を行った。

 


2. 本件調査の範囲
当委員会は、2023年8月22日から 2023年10月31日までの間、当委員会受嘱事項につき、調査・検証を行った(以下「本件調査」という。)。本件調査の基準日(以下「基準日」という。)は、鯵坂氏が辞任した前日である 2023年8月21日であり、本報告書は、基準日における本件調査の結果を取り纏めるとともに、当該調査・検証結果を基に当委員会受嘱事項に係る調査報告及び提言を行うものである。

 

本件調査の範囲となる対象期間(以下「対象期間」という。)は、当委員会受嘱事項1)2)の関係では、本件調査の結果に基づき鯵坂氏に対して本件事案に係る損害賠償請求を行うことができる期間として請求債権の消滅時効期間(10年)とするが、

 

当委員会は、当委員会受嘱事項3)の関係では、本件事案の端緒まで遡る必要があることから、必ずしも上記期間に限定せず、デジタルデータや帳票類の物理的又は技術的な保存期間の最大限を本件調査の範囲とする方針を以て本件調査を行うこととしたが、実際のデジタルデータや帳票類の物理的又は技術的な保存状態から却って短期間にならざるを得ない対象期間の事実上の限界があった。

 


3. 本件調査の体制
当委員会は、下記 3 名の委員で構成されている。

 

 委員長 水野 信次 (日比谷パーク法律事務所 弁護士)
 委員  片桐 春美 (タムロン社外取締役 公認会計士
 委員  野宮 拓 (日比谷パーク法律事務所 弁護士)

 

片桐委員はタムロンの独立役員であるほか、他の委員及びその所属する法律事務所又は法人は、本件調査以前にタムロンから業務の委任を受けたことはなく、いずれもタムロンの「経営者から一定程度独立した者」に該当する。

 

当委員会は、本件調査を実施するに当たり、片桐委員が選定した虎ノ門有限責任監査法人に所属する公認会計士6名及びその他の補助者1名並びに日比谷パーク法律事務所に所属する弁護士2名、パラリーガル1名及びエグゼクティブセクレタリー1名を調査補助者として任命した。

 

また、当委員会は、フォレンジック調査を行うため、フォレンジックベンダーとして株式会社 KPMG FASを調査補助者として起用した。

 

さらに、当委員会は、タムロンの常勤監査役2名(うち、1名が独立役員である社外監査役)を当委員会の調査事務局として任命し、当委員会からの資料提出依頼への対応や関係者へのヒアリングスケジュール調整等を担わせた。

 


4. 当委員会の会議等の開催状況
当委員会は、2023年8月22日から本報告書の日付までに、合計10回の当委員会会議を開催したほか、当委員会の全会一致の決議に基づき、当委員会の個々の委員に対し、その専門領域の調査に関して授権し、当該委員が当該授権に基づきその選定に係る調査補助者を活用して独任遂行する分科会を設置し、当該分科会において当該授権に基づく独任調査領域に係る審議のための会議をそれぞれ複数回開催した。


また、委員会外においても委員間で調査方針等について随時意見交換を行った。
(以下略)

 


ご参考1)2023/11/6 東洋経済ONLINE
タムロン「私的飲食に経費流用」社長の崩壊モラル 前社長から続いた「クラブでの単独飲食も経費」
https://toyokeizai.net/articles/-/712909

 


ご参考2)どんな法的責任に問われる?
https://www.bengo4.com/c_1015/n_16414/
特別背任罪:自分の職務権限に基づいて会社のお金を私的流用した場合

 

業務上横領罪:会社のために保管していたお金を私的流用した場合

 

詐欺罪:自分に出金権限があるかのように装って、会社の預金口座からお金を引き出して私的流用した場合

 


<感想>
本件は、タムロンの経費を私的に流用した旨の内部通報に基づいた、特別調査委員会による調査報告書のプレスリリース。
今後、会社は、対象取締役に対し、損害賠償請求訴訟等を提起することが想定されるため、動向をウォッチしてゆきたい。

 

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