【 取締役会の機能:しょせん会議体なのか 】
2023/10/29の三井住友信託銀行名誉顧問・高橋温氏の「私の履歴書」に、社外取締役の役割についての以下内容が掲載されていた。
『長年の取締役の経験、注力した「日本取締役協会」の活動から、取締役会の機能、社外取締役の役割について少し私見を述べたい。
今日、多くの企業で取締役会が執行と監視を兼ねているのは疑問だ。取締役会はしょせん会議体であり、物事を推進・遂行する力はない。その基本的役割は、社長の選解任、経営戦略、内部統制、業績評価等の決定に対するモニタリング(監視)である。
現在、上場企業の大半は監査役会設置会社か監査等委員会設置会社であり、取締役会をモニタリング・ボードと明確に位置付ける指名委員会等設置会社は90社程に過ぎぬ。
「社外取締役を主たる構成員とする取締役会の監視機能への特化」を会社法が打ち出すべきではないか。
CEO(最高経営責任者)選びに際した社外取締役の自覚と見識は重大となる。
CEOの多くが内部昇格者だが、その選定において「理想のCEO像」から逆算し「万遍なくキャリアを積んでいる」「海外経験が豊富だ」「人柄も良い」といった基準を設け、これを満たす人材を選びがちだ。実はこれが最も良くない。CEOは学校秀才を選ぶのとは全く異なる。
問われるのは会社の社会的存在意義を常にアップデートする「構想力」であり、新たな市場と顧客の開拓に挑戦する「志」であり、その思いをステークホルダーに訴求する「発信力」であろう。』
<会社法>
(取締役会設置会社の取締役の権限)
第三百六十三条 次に掲げる取締役は、取締役会設置会社の業務を執行する。
一 代表取締役
二 代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの
2 前項各号に掲げる取締役は、三箇月に一回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない。
<感想>
恐らく長年の信託銀行での経験からの「取締役会はしょせん会議体」との発言であろうが、業務執行の報告の場としての取締役会は、本来、単なる会議体以上のもっと重要な位置付けのように思われる。
----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HP http://tsuru1.blog.fc2.com/
同Twitter https://mobile.twitter.com/tsuruichipooh
----------------------------------------------------------------------