元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、アクティビスト対応に関する監査役監査?


【 アクティビストへの対応 】

 


 月刊監査役No.757(2023/12)に、「アクティビストへの対応と監査役としての留意点」(野澤大和 西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 弁護士)が掲載されていた。

 

 以下は、監査役の留意点部分の一部抜粋。

 


< アクティビストへの対応と監査役としての留意点 >

監査役の留意点 】
 監査役監査の対象:取締役の職務の執行(会社法381条1項)
 監査役監査の範囲については、取締役の職務執行が適法であるかを監査すること(適法性監査)に限定され、経営効率の観点からの職務執行の妥当性には及ばないと解するのが通説であるが、取締役の職執行が著しく不当であれば、善管注意義務違反となって適法性の問題となることから、監査役監査の範囲が適法性監査に限定される否かを形式的に論じることには余り意味がなく、監査役の個々の権限行使に応じて判断せざるを得ないと考えられる。

 


監査役が留意すべき事項(アクティビストから要求や提案があった場合)>

 

・アクティビストからの要求や提案に対する取締役の対応をモニタリングすることを通じて、そのプロセスや手続をチェックすることが重要
例1)アクティビストから株主提案を受けた場合:1)適法性の確認をしているか、2)反対意見について取締役会で審議されているか等を確認

 


例2)監査役自身(特に社外監査役)が面談に応じる場合
・アクティビストとの面談における一般的な留意事項(1)未公表の重要事実は伝えない、2)特定の事項や期限のコミットメントはしない等)を踏まえつつ、監査役に期待されている役割に照らして対応する必要がある

 


例3)監査役の選解任議案に係る株主提案
・当該株主提案が可決された場合に実効的な監査が可能であるか等について検討の上、取締役に対して意見を述べることが考えられる

 


・アクティビストの要求事項や手法を参考に自社を分析することで、アクティビストが影響力を行使しやすい事項をあらかじめ洗い出す
例4)当該事項に関し改善の余地があると考える場合:企業自身が市場から見える形で改善策を積極的に検討・実行していくことが重要

 


<感想>
日本においても、アクティビスト(物言う株主)の活動が活発化しているため、彼らの要求や提案に対する取締役の対応プロセスや手続について、監査役監査を通じたチェックがますます重要になってゆくものと思われる。

 

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