元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、エムスリーが第一生命を含めた協業を検討?

 

【 エムスリーから見たベネフィット・ワンTOB

 


 2024/2/8、エムスリーから、「ベネフィット・ワン株式(証券コード:2412)に対する公開買付けに関するベネフィット・ワンの意見の変更に関するお知らせ」が発表された。
https://corporate.m3.com/assets.ctfassets.net/1pwj74siywcy/3rm5xfLOekplal67Rn5jUa/8662c410c1172dcd110a659d7e79afc8/20240208_Public_J.pdf

 

 以下は一部抜粋。

 


対象者(「B1」)からB1株式に係る上場維持に向けた強い希望を頂戴していたこと等も踏まえ、第一生命公開買付け(「TOB」)に対する対応方針を検討するにあたっては、B1株式に係る上場維持を前提とした手法を維持するべきと考えた。

 

加えて、応募予定株主(「パソナG」)との間では、第一生命TOBが、法人税法上のみなし配当の益金不算入制度に着目した自己株式取得を組み合わせたTOBの提案(「T」)であったことから、公開買付者(「M3」)としても、法人税法上のみなし配当の益金不算入制度を用いて、パソナGによるB1株式の売却に係る税引き後の最終的な手取金において、第一生命TOBに係る提案との関係で、遜色がないものとするべきであると考えた。

 

他方で、 本TOBは自己株式取得を伴わないことから、法人税法上のみなし配当の益金不算入制度を活用することができない結果、第一生命TOBに係るTとの関係で、競争力のあるTOB価格を提示できないため、 本TOBを前提としたM3によるB1の連結子会社化のTは実現可能性が乏しいと判断し、変更する必要があると考えた。

 

以上の認識をもとに、M3は、本TOBがやむを得ず不成立となった場合において、

 


1)法人税法上のみなし配当の益金不算入制度を活用できる自己株式取得を目的とする自己株TOBをB1に開始いただき、パソナGに当該自己株TOBに応募いただくとともに、

 


2)M3がB1の行うB1株式に係る第三者割当増資を引き受け、払込みを行うことで、M3がB1を連結子会社化(上場維持)するとともに、上記1)の自己株TOBに必要となる決済資金をB1に調達いただくことを内容とする手法(自己株TOB及び第三者割当増資を組み合わせた手法。以下「本件DT(代替提案)」を考え、2023年12月下旬に、B1及びパソナGに提示し、本件DTについて協議をしたい旨の申入れを行った。本件DTにおいては、

 

(ア)パソナGとの関係では、みなし配当の益金不算入制度を活用し、パソナGによるB1株式の売却に係る税引き後の最終的な手取金を第一生命TOBに係るTとの関係で競争力のある金額に設定するとともに、

 

(イ)パソナGを除くB1の一般株主の皆様との関係では、 本件DT後においてもB1が引き続き上場会社であり続けることから、M3とB1の業務提携を通じたB1の企業価値向上による成長の果実(B1株式の株価の上昇を通じた株主利益向上) を享受いただくことを想定していた。

 


2023年12月下旬:M3は、B1及びパソナGから、本件DTを検討する旨のご連絡を頂戴していたが、パソナGからは、本件DTに関する税務上の取扱いに係る懸念や、本件DTに要する期間を理由に、消極的な反応を2024年1月上旬以降、頂戴していた。

 


2024年1月上旬以降:M3は、本件DTが、第一生命TOBに係るTと比べて、税務上の取扱いや所要期間において劣後するものとは考えておらず、この点についてパソナGと継続的に協議をしていたが、パソナGにおいてご納得いただける事態には至っていなかった。

 


2024年2月6日:M3は、パソナGから第一生命TOBに係るTを受け入れる予定である旨の連絡を受け、B1から第一生命TOBに賛同及び応募推奨を行う予定である旨の連絡を受けた。

 

M3としては、本TOB又は本件DTを通じたB1の企業価値向上は、第一生命TOBを通じたものを、短期的及び長期的に上回り、さらに、本件DTを通じたB1の株主利益向上は、第一生命TOBに係るTを通じたものに対して、競争力があるものと考えていたが、本件DTについてパソナGから承諾を得られなかったことをも踏まえて、M3は、本日、本TOBの買付予定数の上限及びTOB価格について、今後、条件変更は行わず、また、本件DTについての検討も終了することとした。

 

なお、M3は、本日、B1から、B1とM3との間の事業の提携関係の構築に向けた意向のご連絡を受けており、また、第一生命が第一生命TOBに係るTによる取引後におけるM3、B1及び第一生命の三者間の協業の可能性についてM3との間で協議を行うことを検討予定であると認識していることから、M3の企業価値向上の観点から、かかる協業の検討を進めてまいる所存である。

 


<感想>
エムスリーのリリースによれば、1)代替提案の検討は終了するが、企業価値向上の観点から、2)ベネフィット・ワンとの事業提携や、3)第一生命を含めた協業の可能性を検討するとのこと。エムスリーの今後の対応に注目したい。

 

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