今月の日経新聞「私の履歴書」は、小野寺正KDDI会長。以下は、2020/10/25の「3社合併成立 KDDと予想外の再交渉 時機読むことの重要性を痛感」からの一部抜粋。
トヨタ自動車との厳しい交渉を経て、トヨタ系の日本移動通信(IDO)と第二電電(DDI)の合併が決まったのが1999年8月のことだ。それに前後してDDIの奧山雄材会長兼社長に意外な人物から電話がかかってきた。97年夏に合併合意の寸前までいき、最後の最後で破談になったKDDの西本正社長から「改めて経営統合について話し合いたい」という申し入れがあったのだ。
(中略)
この再編劇を振り返って、痛感するのは時機を読むことの重要性だ。KDDとの最初の合併交渉では私たちが譲歩を重ね、「社名はKDD」「初代社長はKDDから出す」という相手の要望をのんだ。ところが、先方はそれに飽きたらず合併比率でも譲歩を要求し、交渉は決裂した。
2年後の再交渉ではKDDの力は弱まっており、以前と同じ条件は望むべくもなかった。初回の交渉でKDDが私たちとの合併を決めていれば、社名はKDDとなり、私が社長になることもなかったはずだ。時間の進行につれて自社の立場が強まるのか弱まるのか、それを見極めるのが経営者の大きな仕事だと痛感した。
<感想>
KDD主導で進んでいた97年の合併交渉(合意寸前⇒破断)から、たった2年で立場が逆転し、DDI主導に。
経営者は、業界内における将来の自社の位置付けを見極めることが大切な役割であろう。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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