【 主幹事証券の引受審査の責任 】
2020/12/22、日経電子版に「粉飾企業巡り調査不十分、みずほ証券に賠償責任 最高裁」の記事外務省掲載された。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODG217IT0R21C20A2000000
以下は、最高裁判決判決からの一部抜粋。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/915/089915_hanrei.pdf
『そうすると,上記の金融商品取引業者等は,引受審査に際して上記監査の信頼性の基礎に重大な疑義を生じさせる情報に接した場合には,当該疑義の内容等に応じて,上記監査が信頼性の基礎を欠くものではないことにつき調査確認を行うことが求められているというべきであって,上記の場合に金融商品取引業者等が上記の調査確認を行うことなく元引受契約を締結したときは,同号による免責の前提を欠くものと解される。
よって,財務計算部分に虚偽記載等がある場合に,元引受業者が引受審査に際して上記情報に接していたときには,当該元引受業者は,上記の調査確認を行ったものでなければ,金商法21条1項4号の損害賠償責任につき,同条2項3号による免責を受けることはできないと解するのが相当である。』
< 金商法21条2項 >
2 前項の場合において、次の各号に掲げる者は、当該各号に掲げる事項を証明したときは、同項に規定する賠償の責めに任じない。
三 前項第四号に掲げる者(⇒主幹事証券会社、) 記載が虚偽であり又は欠けていることを知らず、かつ、第百九十三条の二第一項に規定する財務計算に関する書類に係る部分以外の部分については、相当な注意を用いたにもかかわらず知ることができなかつたこと。
<感想>
本件は、2009/11の東証マザーズ上場後に粉飾が発覚して、2010/6に上場廃止となったエフオーアイ案件における、主幹事みずほ証券の免責が認められなかった事例。
投資家保護の観点からも、主幹事証券の引受審査において、十分な調査確認が必要なことは言うまでもない。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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