【 情報受領者・被推奨者:インサイダー対象外 】
2023/5/18、DIAMOND onlineに、『IRジャパン元副社長逮捕、動機は報酬への不満!?全容解明へ「3つの注目ポイント」』が掲載された。
https://diamond.jp/articles/-/323161?page=2
以下は、一部抜粋。
栗尾氏は、IRジャパンが11年にジャスダック上場した際、主幹事証券会社だった野村證券で法人担当部長職にあった。そこからの縁で13年に副社長待遇でIRジャパンに入社した。
ご参考1)日本取引所グループ金融商品取引法研究会 「インサイダー取引規制の逐条検討(その4)―金融商品取引法 167 条の2」
https://www.jpx.co.jp/corporate/research-study/research-group/nlsgeu000003pt2o-att/20180622_1.pdf
< 情報受領者・被推奨者 >
金融商品取引法第167条の2第1項の規制対象外
1.規制の趣旨
未公表の重要事実等を通常知り得る特別な立場にある者による情報伝達・取引推奨行為は禁止取引が行われる蓋然性を高めるという点にあるところ、情報受領者や被推奨者はそのような者には必ずしも該当しない
2.金商法
そもそも第二次情報情報受領者による情報に基づく取引を禁止していないから、第一次情報受領者もしくは被推奨者による情報伝達行為や取引推奨行為にはそもそも共犯的な違法性がない
3.職務外の私的な関係等
職務外の私的な関係等により通常知り得る契機以外によって未公表の重要事実を知った場合には、それは会社関係者であるがゆえの特別な立場に基づくものとは異なる
< 金融商品取引法 >
(未公表の重要事実の伝達等の禁止)
第百六十七条の二 上場会社等に係る第百六十六条第一項に規定する会社関係者であつて、当該上場会社等に係る同項に規定する業務等に関する重要事実を同項各号に定めるところにより知つたものは、他人に対し、当該業務等に関する重要事実について同項の公表がされたこととなる前に当該上場会社等の特定有価証券等に係る売買等をさせることにより当該他人に利益を得させ、又は当該他人の損失の発生を回避させる目的をもつて、当該業務等に関する重要事実を伝達し、又は当該売買等をすることを勧めてはならない。
ご参考2)IRジャパンのマッチポンプによる収益化
http://tsuruichi.blog.fc2.com/blog-entry-2310.html
<感想>
本件は、マッチポンプ的提案に続く、代表取締役副社長によるインサイダー取引の違法事案。
IRのプロのはずのIRジャパンには、コンプライアンス体制の再構築が望まれる。
なお、個人的には、インサイダー取引規制の対象外である「情報受領者・被推奨者」を利用した、戦略的不正を懸念している。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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