元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、IPOでの優越的地位の濫用?

 

公正取引委員会IPOにおける優越的地位 】

 


 2023/4/13、公正取引委員会が、みずほ証券を注意した。
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2023/apr/20230413dai2.html

 以下は、一部抜粋。

 


注意の概要等

(1) みずほ証券は、令和2年6月から令和3年5月までの間に東京証券取引所に上場した新規株式公開案件96件のうち、21件において主幹事を務めた。

  新規株式公開は、推薦審査の終了後に公開価格設定プロセスを経て行われるところ、上場予定日の延期を希望しない新規上場会社にとっては、公開価格設定プロセスの段階で主幹事を変更することは困難であるため、主幹事が、新規上場会社にとって著しく不利益な要請等を行っても、新規上場会社はこれを受け入れざるを得ないと考えられ、みずほ証券は、主幹事を務めた新規株式公開案件の公開価格設定プロセスにおいて、主幹事を変更することが困難である新規上場会社に対し、優越的地位にあったと認められる可能性がある。

 

(2) みずほ証券は、主幹事を務めた上記21件の新規株式公開案件の公開価格設定プロセスにおいて、同社が優越的地位にあったと認められる可能性がある新規上場会社に対し、下記ア及びイのように想定発行価格又は仮条件を設定し、これを受け入れるよう要請していた事例が認められた。

 


  そして、2社の新規株式公開案件における初値は、いずれについても公開価格の倍以上となるなど、公開価格を大幅に上回っており、2社は、自らが主張した想定発行価格又は仮条件に基づき設定されたであろう公開価格により新規株式公開ができていれば、より多くの資金を調達した可能性がある。

 


 「新規株式公開(IPO)における公開価格設定プロセス等に関する実態把握について」を踏まえた取組

 

 公正取引委員会は、新規株式公開における公開価格設定プロセス等に関する実態把握を行い、令和4年1月28日に報告書を公表した。本報告書においては、「優越的地位にある主幹事が、一方的に公開価格を設定するなどして主幹事業務の取引を実施し、新規上場会社に正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えたと認められる場合には、独占禁止法上問題となるおそれがある」旨指摘したところであり、

 公正取引委員会は、今回のような行為も含め、当該報告書において指摘した独占禁止法上問題となる行為に係る情報に接した場合には、厳正・的確に対処していく。
(以下略)

 


ご参考)(令和4年1月28日)新規株式公開(IPO)における公開価格設定プロセス等に関する実態把握について
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/jan/220128_IPO.html

 


<感想>
 本件は、みずほ証券が、IPOの公開価格設定プロセスに優越的地位の濫用があったとして、注意されたもの。
 IPOの初値は、その時点における相場環境にも左右されるため、初値がIPO価格の2倍以上であることを理由として、優越的地位の濫用と看做すことには違和感を感じる。

 

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