元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、50年ぶりの児童文学書?


【 50年ぶりの児童文学 】

 


 小学校時代に読んだ「ゲンのいた谷」(長崎源之助著、講談社文庫)をほぼ50年ぶりに読んでみた。


 以下は、添付Webサイトからの一部抜粋。
http://www.cl.bb4u.ne.jp/~sobae/sobae/gen.htm

 


 ある夏休み、小学5年生の幹男はお父さんにつれられて、ある山寺を訪れる。そこは幹男の父が戦争のとき疎開をしていた場所だった。いやな思い出のつまったここへ、お父さんが幹男をわざわざつれてきたのは、あのころの自分と同じ年になった息子に自分が暮らしていた場所をぜひ見せたいと思ったからだ。けれど、お線香の匂いのする古くさい寺に幹男はなんの興味も持てずにすぐに飽きてしまう。集団疎開なんてスポーツの合宿訓練や林間学校みたいにしか思えない幹男にとっては、父の語る生活の苦しさなんて少しもわからず、こんな寺よりも遠くに見える遊覧船に乗るほうがはるかに面白そうだからだ。

 

 ところが、寺の人に挨拶をしている父をひとりで待っていた幹男を呼ぶ、土蔵の壁にかかれた一匹の怪獣。あいたいあいたいと思ってずっとまっている少年「うめぼし」は、きっともう死んでしまっているんだ……といって泣く怪獣ゲンの頼みで、幹男はうめぼしの話を聞くことになる。それは、幹男が想像していたのとはまるで違う、かなしくてさびしくてしょっぱい苦い涙を流す少年たちの疎開生活だった……

 

 戦争を知らない子ども幹男に怪獣が語る戦争の物語。空腹に耐え、親と別れたさびしさをこらえて生きている子どもたち。


その中でも、反戦運動をしたためにスパイ扱いされた父親をもつ「うめぼし(スッパイ=スパイ)」は、疎開児童の中でも仲間はずれにされ、孤独な日々を耐えているのだ。ゲンはうめぼしのなみだをなめ、そのしょっぱさでおおきくなってゆくが、その哀しみの深さは読んでいるこちらの胸をえぐらずにはいられない。しかも、厳しい状況下で精一杯生きている子どもたちと先生の日常を描いたこの作品はドラマティックな波乱にも満ちている。幹男とともに、ゲンの話につりこまれていくに違いない。

 

 それでも、最後に幹男はいう。ぼくだったらゲンのような友だちをもっていたら、なみだなんてなめさせない、と。


「ぼくだったら、いっしょに未来のことを話しあうよ」

 


参考1)[座談会]戦争の虚しさを描く 長崎源之助の児童文学
https://www.yurindo.co.jp/yurin/16473

 

小西:昭和40年前後は、児童書がようやく息を吹き返して、活気を呈した時期で、課題図書などもだんだん売れるようになった時代です。課題図書には数回入られてますよね。

 

長崎:7回入りました。

 

小西:一番最初が『ゲンのいた谷』ですね。

 

長崎:はい。学童疎開の少年たちを扱った、作家に専念して最初に書いた作品です。

 


参考2)過去の課題図書 第8回~第20回(1962年度~1974年度)
https://www.j-sla.or.jp/contest/youngr/pastbook/82019621974.html

第15回コンクール(1969年度)
区分  著者    書名     出版社
小学校 長崎源之助 ゲンのいた谷 実業之日本社

 


<感想>
 青少年読書感想文全国コンクールの1969年度の課題図書となっていた。
 小学校の読書感想文で賞状をもらった記憶があるが、当時6歳で書いてはないため、全国ではなく、地元独自の小さいコンクールだったに違いない。

 

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