【 確率思考の戦略論:目的達成時の主なビジネスドライバー 】
先日、久しぶりに森岡毅氏の「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」(今西聖貴・共著、角川書店)を読み返してみた。
以下は一部抜粋。(その4)
第3章 戦略はどうつくるのか?
3.戦略はゴールから考える
◆ いかに到達地点の景色を明瞭にできるか?
いくら戦況分析の能力に秀でていようとも、数式やデータを使いこなせようとも、それだけでは戦略をつくることはできません。なぜならば、戦略とは明確な「目的」がないのであれば存在するものではないからです。企業のリーダーにとって、その目的設定こそが最初で最重要な仕事になります。「結局。どうしたいの?」という話です。そこに人間の生み出す強烈な意志がなければ目的は生まれようがなく、まして戦略の出番など永遠にありません。
達成したい目的があるとき、次になすべきことは、その目的が達成できているときの状況を想像力と数値を使って徹底的に考えることです。ここはずいぶんとアートな部分ですから、後に必ずサイエンスで検証をしなくてはなりません。
しかし、とにかく最初にやるべきはゴールの達成状況を具現化していくことです。特に目的達成時に主なビジネスドライバーがどうなっているべきか、具体的な数値を当てはめていきます。そうすると、目的達成に必要ないくつかのクリティカルな条件が見えてきます。次に、その条件を達成するために、今日とのギャップをどう埋めていくか? そのための戦略を考えていくのです。そのように私はゴールを具現化するところから始めます。
戦略は必ず達成したい目的付近の地景を明確にしてから逆算で組んでいくのです。そうしないと、あらゆる無駄な道に迷い込んで時間と労力を消耗するだけでなく、正しい戦略に辿りつかなくなる恐れも大きいのです。
ベストだと思える目的から逆算したシナリオ(戦略)を導き出すとき、私が必ずやることにしていることがあります。同じ目的を、そのベストシナリオとはできるだけ違う道筋で達成する戦略をもう1つ考えてみるのです。一番良いと思えるプランAに対して必ずプランBを考えてみる、この習慣は多くの局面で私の危機を未然に防いでくれました。プランBを考える過程で、プランAを相対化することができるのです。それによって想定の脆弱さや盲点に事前に気がつくことができる。場合によってはプランBの方が成功確率が高くなることもあります。
登りたい壁があるならば、まず足場をつくる技術が必要なのです。高い壁があった時に一気に壁を飛び越えることしか考えられない人は、無理だと思って諦めます。そのような人は、階段(=戦略)をつくる方法を知らないだけです。目的が高いところにあっても、目的から現在を逆算して、巧みに足場を組んでいく技術があれば、ガウスのように辿りつけるのです。どれだけ壁が高くても、階段さえ作れば必ず登れる。まずはそれを信じることです。
<まとめ>
1.明確な目的設定(「どうしたいのか」を明確化)して、目的達成時の状況を想像力と数値を使って徹底的に考える(ゴールを具現化する)。
2.目的達成時に主なビジネスドライバーがどうなっているべきか、具体的な数値を当てはめて、目的を達成するための必要な条件・戦略(今日とのギャップをどう埋めていくか?)を考える。
3.目的が高いところにある時は、目的から現在を逆算して、巧みに足場(戦略)を作って必ず登り切る。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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