【 東京機械製作所:利害関係者の議決権 】
東京機械製作所事件:3か月弱の期間で約4割の株式を取得したADCらによる「利害関係者を除く78.96%の株主の賛成をもってADCらの買収防衛策の発動(新株予約権の無償割当て)の差止め」の訴えは認められなかった事案
以下は、東京機械製作所事件のマジョリティー・オブ・マイノリティー(MoM)について、添付Webサイトからの一部抜粋。(その1)
https://www.jpx.co.jp/corporate/research-study/research-group/cg27su00000086b6-att/20221125_1.pdf
最近の買収防衛策を巡る動向(2)-富士興産事件、東京機械製作所事件-
東京機械製作所事件
1.事案の概要と裁判所の判断
東京機械製作所事件の事案の重要な特徴としましては、1)ADCらによる東京機械製作所株式の短期間での株式の買い集め、具体的には3か月弱の期間で約4割の株式を買い集めたという事案だったわけですが、この短期間での大量の株式の買い集めは、公開買付けを通じて行われたのではなく、市場内での買い集めであったこと、
及び2)当該無償割当ての実施の是非を判断する株主総会において、ADCら及びその関係者と東京機械製作所の取締役及びその関係者(以下、これらの者を総称して「利害関係者」といいます)の議決権行使は認めないとされていたことが挙げられます。
すなわち、いわゆるMoM要件による決議が選択されたという点が、重要な特徴の一つであると考えられるところです。
なお、2021年10月22日に開催された東京機械製作所の臨時株主総会では、2)に掲げた利害関係者を除く形で出席株主による議決権行使結果を集計したところ、78.96%の株主の賛成をもって本件対抗措置の発動(当該無償割当ての実施)は承認されています。
2.MoM要件による株主意思の確認と勧告的決議
東京機械製作所事件における最大の争点は、買収防衛策の導入・発動の是非を判断する株主総会決議において、敵対的買収者であるADCら及びその関係者と買収対象会社である東京機械製作所の取締役及びその関係者、すなわち利害関係者が保有する株式の議決権行使を認めない形で行使結果の集計をした東京機械製作所の対応が許容され、買収防衛策の導入・発動を巡る同社の株主総会の判断を、ブルドックソース事件最高裁決定に代表される我が国の判例法理に従い、裁判所として尊重してよいかどうかという点にあると考えられます。
(次へ続く)
<感想>
本件は、2年前の臨時株主総会で、利害関係者を除く出席株主の78.96%の株主の賛成をもって買収防衛策(対抗措置の発動:当該無償割当ての実施)が承認された事案。
当該買収者に市場売却された株式は必ずしも買収に賛同して売却されたわけではないから、当該議決権を除くという理屈は納得できる。
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