【 新株予約権を用いた買収防衛策 】
2021/9/17、新生銀行が「SBI地銀ホールディングス株式会社からの当行株式を対象とする公開買付けの開始を受けた、株主意思確認を必須前提とする買収防衛策の導入に関するお知らせ」を発表した。
https://www.shinseibank.com/corporate/news/pdf/pdf2021/210917_Announcement1_j.pdf
新株予約権を用いた買収防衛策として、新株予約権に差別的行使条件が付されているが、これは「株主平等原則」の趣旨に反することにならないのか。
以下は、BUSINESS LAWYERSの「新株予約権を用いた買収防衛策」からの一部抜粋。
https://www.businesslawyers.jp/practices/663
差別的行使条件と株主平等の原則
いわゆるブルドックソース事件(最高裁平成19年8月7日決定・民集61巻5号2215頁)において裁判所は、新株予約権無償割当ての場合について、「特定の株主による経営支配権取得に伴い、・・・会社の企業価値がき損され、会社の利益ひいては株主の共同の利益が害されることになるような場合」(買収防衛策の必要性)には、「当該取扱いが衡平の理念に反し、相当性を欠くものでない限り」(買収防衛策の相当性)、株主平等原則の趣旨に反するものということはできないと判示しました。
この最高裁決定の考え方によれば、買収防衛策として新株予約権に差別的行使条件を付することも、買収防衛策としての必要性と相当性が認められる限り、株主平等原則の趣旨に反するものではないといえます。
一般論として、買収防衛策は株主の合理的な意思に依拠すべきといえることから(株主意思の原則。経済産業省・法務省「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」(平成17年5月27日)IV2(2)参照)、その導入および発動のいずれの場面においても、株主総会の決議に基づくことが、適法性確保の観点から望ましいといえます。
ブルドックソース事件での最高裁決定も、買収防衛策としての必要性と相当性の判断については、最終的には、会社の利益の帰属主体である株主自身により判断されるべきものである旨を判示しています。
<感想>
上記ブルドックソース事件の最高裁判決の通り、「衡平の理念に反し、相当性を欠くものでない限り」、差別的行使条件も株主平等原則の趣旨に反するものではないとされた。
今回の新生銀行の買収防衛策においても、2021/10/13を基準日とした株主総会での決議が前提とされている。
株主総会前にSBI側がTOBを取り下げるのか、or 株主総会が開催された上で株主はどちらが選ぶことになるのか、今後の行方から目が離せない。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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