元証券マンが「あれっ」と思ったこと

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あれっ、同性婚を巡る司法判断の変化?

 

同性婚を巡る札幌高裁判決 】


2024/3/15、日経朝刊に『「同性婚訴訟」札幌高裁の判決要旨』が掲載された。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO79260610U4A310C2CT0000/

 

 以下は記事抜粋。

 


同性婚を巡る訴訟で、14日に言い渡された札幌高裁判決の要旨は次の通り。


性的指向
同性愛者は婚姻が許されていないため、社会生活上の不利益を受け、アイデンティティーの喪失感を抱いたり、社会的な信用、評価、名誉感情などを維持するのが困難になったりするなど、人格が損なわれる事態となっている。

 

性的指向は生来備わる人としてのアイデンティティーで、個人の尊重に関わる法の保護は同性愛者も同様に享受されるべきだ。同性愛のみならず、愛する対象が異性と同性の双方の場合、性を自認できない場合なども同じように考えられる。

 


憲法14条1項】
憲法14条1項は法の下の平等を定め、差別的な取り扱いを禁止する趣旨だ。立法府裁量権を考慮しても、取り扱いの区別に合理的な根拠が認められない場合は同項違反と判断すべきだ。

 

性的指向と婚姻の自由は重要な法的利益だが、同性婚は許されていない。それにより同性愛者は制度的な保障を享受できず、著しい不利益を受けている。性的指向の区別は合理的根拠を欠いており、憲法14条1項に違反する。

 


憲法24条】
憲法24条1項は、人と人の自由な結び付きとしての婚姻をも定める趣旨だ。同性間の婚姻も異性間と同じ程度に保障していると理解できる。憲法制定当時は同性婚が想定されておらず、両性間の婚姻を定めているが、文言のみにとらわれる理由はなく、個人の尊重がより明確に認識されるようになったとの背景のもとで解釈するのが相当だ。

 

24条2項は、婚姻や家族に関する立法に当たっては、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚すべきだと定めている。憲法上の権利に至らない国民の人格的利益をも尊重し、婚姻が事実上不当に制約されないことにも十分に配慮した法制定を要請している。

 

同性婚を許さず、これに代わる措置を一切規定していないのは、憲法24条の規定に照らして合理性を欠き、国会の立法裁量の範囲を超える状態に至っていると認めるのが相当で、24条に違反している。

 


【国民世論】
国民に対する調査でも同性婚を容認する割合はほぼ半数を超えている。否定的な意見を持つ国民もいるが感情的な理由にとどまっている。啓蒙活動によって解消していく可能性がある。同性婚を可能とする国・地域は30を超えている。同性婚について法制度を定めた場合、社会的な影響も含め、不利益・弊害が生じることはうかがえない。

 


【付言】
同性婚を許さない規定は、国会の議論や司法手続きで違憲だと明白になっていたとは言えず、制度設計についても議論が必要だ。だが違憲性を指摘する意見があり、国民の多くも同性婚を容認している。社会の変化を受け止めることが重要だ。

 

同性婚を定めることは国民に意見の統一を求めることを意味しない。個人の尊厳を尊重することであり、同性愛者は日々の社会生活で不利益を受け、喪失感に直面しており、対策を急いで講じる必要がある。喫緊の課題として、異性婚と同じ制度の適用を含め、早急に真摯な議論と対応が望まれる。

 


< 憲法 >
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 

第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

 


<感想>
1)同性婚を容認する社会の変化、2)価値観や家族観などの多様化を受けて、司法判断も時代と共に変化する。国会での早期立法措置を期待したい。

 

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